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【悲劇を穿つ、百花の弓聖】レイラ

───────────────── 10代後半 身長161cm No. 【S-14】 コードネーム: レラージュ ───────────────── 【以下、暴力表現有り。閲覧注意】 笑う声、否定する声。吐かれた言葉の1つ1つが深く突き刺さった。毎日、割れたガラスの上を裸足で歩かされているようだった。 全部お前が悪いのだと怒鳴る声。 ボロボロに焼けた髪を掴まれ、犯していない罪の赦しを乞うた日々。 戦禍と非道な実験に蹂躙された少女が流れ着いたのは袋小路だった。 目を覚ました先は見知らぬ場所。よく見知った瓦礫の山と死の匂い。少女はゆらりと立ち上がる。自らを否定する言葉に支配されて。 誰もいない筈なのに、声だけが聞こえる。下卑た笑い声と、怒鳴り声が頭を埋め尽くす。その声を掻き消すかのように、少女は頭を掻きむしり、叫ぶ。 「黙れ黙れ黙れ!!」 己の心を体現しているかのように、大量の矢が周囲に突き刺さる。 甘くて都合のいい言葉なんて、どうせ直ぐに嘘へと変わる。 彼女にとって、自分を否定する言葉だけが変わらぬ真実だった。 進む先も退路も無く、流れるのは涙のみ。 無力な自分を呪い、俯いたまま地面を睨み、今日も世界を恨み、どこにも行けないまま澱み腐っていく。 裏切られた心1つ、少女は啜り泣く。その姿を慰める者は、誰1人居ない。 生きながら地獄へと堕とされた少女の頭の中は、常に自らを否定する言葉で埋め尽くされていた。 化膿した心には血が滲み、息をするだけでも酷く痛んだ。早く止まればいいのに。全て朽ちればいいのに。 それでも世界は回った。少女を命の輪廻の輪から外して。 また笑われて否定されるのだろうか。嘘を吐かれるのだろうか……殺されるのだろうか。 繰り返す死に怯え、少女は震える声で陳腐な言葉を紡ぐ。 「わたしは……悪くない……」 その言葉を胸に、少女は死と再生を繰り返す。どうしてこうなったのだろう。目を閉じても、覚ましても、有るのは平和とは程遠い地獄だった。 花が咲き、風車が回っていた鮮やかな故郷は、家族と共に赤と黒に染まった。 少女の焼けた腕を治療し、微笑みかけた人々。その人々こそが彼女の全てを否定し、悪魔の器にした。 凡ゆる言葉に刺し貫かれ、穴だらけになった重く沈んだ心。その中に一際深く刺さっていた言葉が、突如頭の中に響いた。 「ごめんね、レイラ……」 それは裏切られ、絆を引き裂かれた記憶。 涙が溢れ、震えが止まらない。息が苦しい。歯の根が合わない。信じていた。信じてくれていると思っていた、異形の怪物となってしまった研究員の最期の言葉。それは少女が初めて殺めた大切な人だった。 何故最期に謝ったのだろう。裏切ったのなら、最期まで悪人で居て欲しかった。 最早言葉など意味を成していなかったのかもしれないが。 ……くだらない会話までもが想起された。 有名なアイドルの女の子と友達になったこと。その子と約束したこと。荒れ果てた故郷に、花畑を取り戻したいと。 その言葉に応えるように、アイドルの女の子、フォルネは戦禍で荒れた人々の心に友愛を届けるのだと、満面の笑みを浮かべた。 研究員だった彼女は、それを聞いて、優しく微笑んでいた。「きっと貴女達ならできるよ、私も全力で支援する」と。 ……あの顔と言葉に嘘偽りなどあっただろうか。 「本当、この世にはうんざり……」 嫌になる、と少女は吐き捨てる。多くの命の尊厳を踏み躙る醜い世界。滅んでしまえばいいと何度思ったことか。その癖、独りよがりな矜持を掲げて愛を誓う者達。 全部が無駄で駄目なわけではない、この世界。ほぼ駄目な癖に、全部駄目ではないから、腐り落ちていても捨てられずに取っておいてしまう。僅かに残された希望に縋ってしまう。本当にうんざりする。 「世界が何よ……バカの1つ覚えみたいに否定して。もう1度その傲慢な頭を射抜いて、2度と私を否定できなくしてやる」 残酷な世界の中、嘗て世界を制した少女は弓を手に取る。狙うは大口を開けて笑う悲劇の中心。滅びた故郷をもう1度、大輪の花で埋め尽くす為に。 ───────────────── 【その他コンセプトのあれこれ】 タッグ系のキャラクターって仲間割れとかするのだろうかという底意地の悪い好奇心から生まれたキャラクター。 ただ人様のタッグキャラにはぶつけられない。ぶつけちゃ駄目だという自覚はあるが好奇心は止められなかった。 今の所、仲間割れしたのは自陣営だとヴィランハルマルとナベロスぐらい。 いぬとねこ、フォルラビ、寛解ハルマルは駄目だった。(フォルラビとかいう響きの絶妙なアイドル感好き)(タッグを組んだのか……わたし以外の女と……) 因みにうちのヴィランの中で唯一、救済アンドレに勝てた事が無い。凶弾ハルとマルは稀にそのまま押し切れるけど、レイラはめちゃくちゃ一方的にやられる。アンドレ被害者の会会長。 そしてヴィランを作ったときの調整要員として、実は欠かせないキャラクターだったりする。出来れば善性のキャラクターには倒されて欲しいので、相性もあるとは思うけど、ヴィランの強さはレイラ以上、アンドレ未満ぐらいになる程度にはしている。 アンドラスは後の方に取っておきたかったので、他で72柱の中で不和をばら撒く戦闘系なのは……と色々思案した結果、レラージュを選択。8番のバルバトスと同一視されている様子。向こうは動物とおしゃべりできるとかいう可愛い力がある。正直めちゃくちゃ欲しい。レラージュには多分無かった筈。 勝利や闘争を司る優秀な射手とのことで世界を1度獲らせた。 そして討ち取った筈の世界に強く否定させてみた。 目指したのは被害者意識で敵に罪悪感を植え付け、弱々しく抵抗し、時に暴走する最期まで改心しないヴィラン。 傷を化膿、壊死させることが出来る一方、逆に癒す事も出来るとのことで、傷つけて傷つきながらも、どこか救いを求めて彷徨う弱々しい少女というのがコンセプト。でも救いは控えめ。 敵に打ち取られて死の間際、何か声を発しているので耳を傾けたら「わたしは悪くない」と泣いていてもいいし、そう言って薄ら笑いを浮かべいてもいい。倒すのは簡単だけど、救うのが難しい悪というのがテーマ。 プロフィールもトップクラスに悲惨。非戦闘版で明らかになった、担当を外された研究員との件は思いつき。 外された後の研究員の処遇どうしようか思案してヴィラン版のプロフィールを見ていたら「前の担当の名前を」と記載していた事を思い出したので、そう繋げた。「絆を引き裂かれた」という本人のコンセプトに合致してしまったのでつい。 悲劇の因果に引っ張られるのでうちのヴィランだと1番敗北率が高い。そして仮に勝っても最後は泣くので心理的にはめちゃくちゃ負けてる。なんなら勝ってるときが1番悲惨。 ただ、悲劇の因果が時に牙を剥く。主に攻撃力があまり高くない「助けに来たよ」っていう優しいキャラクターに。そういうキャラに対して1番攻撃的なので、「そういうとこだぞ」って気持ちになる。作っておきながら。 恐らく優しい言葉は全て嘘に変わると思っているから多分1番深いトラウマを抉られて、反射的に攻撃する様子。多分私のキャラクターの中で、SNSをやらせると1番アイコンが真っ黒な女。確実に鍵垢。 そして挑まれがち。ありがたい。因みに2024/07/27地点でヴィランタグがついているキャラクターの中では1番いいねが多い。ありがたい。因みに2位はフォルネ。 弓聖になった今も、レラージュである事に変わりはないので戦法は一緒。 しかし敵に卑怯者のレッテルを貼り、連携を阻止する分、タチは悪くなっている。でもこれを無くすとアイデンティティが無くなってしまうので付けざるを得なかった。 【エメ・ジャルダン】はレラージュが愛を司っているから。アモルにしてたけどラテン語なのに気づいて修正した。響き自体はアモルも可愛くて好きなので、どっちでも良かったけれども、1つに纏めた方が綺麗かなって。 ジャルダン(庭園)は本人が「庭園の至宝」と呼ばれているから。 庭園はどこから出てきたかというと、本人のもう一つのモチーフである「エメラルド」より。結晶化するまでに強い圧力や無理がかかる分、傷やヒビ、内包物が多い。そして衝撃に弱くて脆くい宝石。それでもその傷や内包物は、フランス語で庭園を意味するジャルダンと呼ばれ、その傷を含めて愛されている宝石。 「無傷のエメラルドと欠点の無い人間は存在しない」って諺もあるらしいので、その癒えない傷も含めて、彼女を彼女たらしめるものであってほしいなと思います。 なので本体に「改心しない」と書いた以上、「もう間違えないよ!」みたいなキラキラした立ち直り方はしない。手口も変わらないし、自分が強く否定された気持ちも強く残っている。 壊れたままの心を抱えながらも繰り返す死の中、助けてくれた{u}を思い浮かべて、何かを掴んで行くんだと思います。