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【焚火の傍で語らう炎狼】ルシアス

10代中盤〜後半 身長172㎝  獣人時:身長179㎝ 変わらず1人で旅を続ける少年。 定期的にお土産を引っ提げ、樹海の魔女達に会いに行く。 ───────────────── 自分でも訳が分からない事を言っていると思うが、私は何度か死んでいる。確実に何度も殺されている。 不平等なこの世界で、死だけは唯一平等だと信じて疑わなかった。けれどもそれは嘘だったらしい。 双子兄妹は笑った。 「2人だけの世界になればいい」 「だからそれ以外は滅びるべき」 英霊達に抑え込まれ、全身に銃弾を浴びた。 https://ai-battler.com/battle/b7372ace-a40e-4cec-9a2f-e5a08a521de7 射手は泣いた。 「わたしは悪くない。同じ苦しみに堕ちろ」 矢傷がたちまち化膿し、身体が腐り落ちていった。 https://ai-battler.com/battle/035e901a-c6be-459d-b12e-6695e7b8cd69 聖騎士は微笑んだ。 「この世が地獄である限り、死こそが全てを救済する唯一の道」 聖剣がこの身を両断し、救済の名の下に消し飛ばした。 https://ai-battler.com/battle/f7b5a3c0-da7a-47b3-91bf-b328a4270dea それでも気が付けば傷一つ残らず、まるで何事も無かったかのように立ち尽くした。 ただ殺された感覚、痛みと恐怖が心臓を激しく打ち鳴らした。 何度も何度も殺された筈だ。数え切れない程、何度も。何度も。気が遠くなる程。気が狂いそうになる程。何度も。何度も。 身長の高い猫背の女性に出会った。 「あ、あの、悪気はないんですけど、笑いの神が降りて来ちゃって……あはは……ごめんなさい!!」 https://ai-battler.com/battle/433bdb4f-29ef-4cdd-b570-04bac0928da9 不思議ないぬとねこにも出会った。 「シュレーディンガーのねこにより死なないんだ!一緒に遊ぼ!!」 「不確定要素にゃ!新しい宇宙の為、我らと和解せよ!!」 https://ai-battler.com/battle/57877a55-905c-415c-961b-83d063276e90 ……よく分からなかった。でも楽しかった。 【※以下暴力表現有。閲覧注意】 ───────────────── 常に私の全てを否定する言葉で満ちた研究室。実験とは名ばかりの拷問に等しい日々だった。挨拶代わりに突如打ち込まれた謎の薬剤。塞がれた四肢。毎回ご丁寧に床にぶち撒かれる食事。気分次第で与えられる懲罰。全く効きやしない麻酔の代わりに流し込まれる、明らかに違法な薬物。生きていることすら笑われた。全てが私の私たらしめる物を削り取ろうと牙を剥いた。 研究所なんてものでは無かった。あそこは悪魔の飼育小屋だった。比喩ではない。本当にそうだった。 人の尊厳はここまで踏み躙れるのか。ありとあらゆる器具が私の身体を壊し、薬物が私の思考すら壊していった。過去に縋れば消えたくなった。未来など何1つ信じられなかった。ただただ必死に、今に喰らい付いた。 「人生は長いが、目先の間違った楽な方向へ身を売った途端に人は死ぬ。正しくない楽な道の奴隷にならず、誇りと信念を貫け」父の教えをひたすら反芻した。負けてなるものか。屈するものか。その想いは家族愛とか、そんな暖かいものではなく、たとえ醜くとも、この世に留まる為に自身にかけた呪いそのものだった。 そうして不確定な『今』にしがみついていた所、或る男に出会った。 初めに会ったときは、男が何を言っていたのか、殆ど分からなかった。男の言葉が悪いのではない。1番苦手とする薬剤を大量に打ち込まれ、朦朧としていた私の意識が原因だ。名前はおろか、顔すら覚えられなかったが、箱が開いたとの言葉。それだけは聞き取れた。 次に会ったのは冷たい部屋だった。「おはよう。いい朝だね」と暗い部屋で能天気に笑った。暗い部屋でも輝いているかのように、はっきりと分かる恐ろしく整った容姿。この世の者ではないことは瞬時に理解した。 ……この男に会う少し前に死んだと思う。朦朧とする意識の中、命令された通り双子兄妹と闘わされて、途中で気が付いて踏み留まって、けれども薬……【ソロモンの指輪】と呼ばれたそれを沢山打たれて。 聞きたいことは沢山あった。それは見透かされたようだった。「箱が開いた。底に眠るものがこの国に満ちる前に、君が必要になった。底に眠るものが、この国に満ちた後の世界の為にも」今度こそよく分からなかったが、とりあえず必要とされていることは理解した。 「ここまで来るのに力を消耗してしまった。一緒に、この部屋から頑張って脱出しよう」 男は申し訳なさそうに微笑んだ。 不思議と湧いてきた強い恩義を力に、四肢の拘束をちぎり飛ばしてやった。 「ここの壁は、僕の力がうまく働かないぐらい分厚いんだ。穴が空くぐらいの力があればいいんだけどな」 研究所での理不尽な境遇で蓄積した怒りを込めて壁を殴りつけた。壁に空いた穴から、数年ぶりに青空を見た。 「最高だね!」と男が笑い、私の肩に腕を回した。次に瞬きをした時には外にいた。研究所の姿は遠く小さい。この世は分からないことばかりだ。 「あとね、これも僕から君へ」 男が私の首に付いていた起爆装置をいつの間にか取り外してくれていた。それも次に瞬きをしたら消えた。 「派手に行こうか!!」 楽しげに指を鳴らした。その瞬間、研究所の壁が爆散した。起爆装置を研究所に転移させたらしい。 そうして研究所を離れた。男と別れる前に簡単に自己紹介をした。以前名前を教えて貰ったが、忘れてしまった事を謝罪した。 男は気にしなくていいと笑い、自身のことを【セーレ】と名乗った。 https://ai-battle.alphabrend.com/battle/93400e87-45a0-45e7-97f4-e52bcc0c834d ───────────────── 私から祖国と尊厳と家族を奪い、多くの子供を地獄に堕とした敵国は、私が復讐する隙すら与えずに一瞬で滅んだ。 私は多くの傷を抱えた。身体ではなく、心に。針が怖い。薬とかそういう単語を聞くだけで心が嫌な気持ちでいっぱいになる。武器も怖くて握れなくなった。 「ほら、食ってけ駄犬」 それでも希望はあった。私の目の前に居るのは、研究所から一緒に逃げ出した魔女。名をモリーと言う。 味方の【ギフテッド】が半分狼、仔犬、ろばである事に対し「動物園かよ」となかなか辛辣に吐き捨てる人だ。けれども被験者だった子供達を懸命に育てる、厳しくも優しい人だ。 樹海の奥にある煉瓦造りの小屋。定期的に私はここに訪れる。嘗て私はこの人を殺そうとしていたのに、この人は私を助けてくれた。 狂気に呑まれる私の意識を覚ましてくれた。 「駄犬」と呼ばれる事に抵抗がないと言えば嘘になるが、この人になら仕方ない。ただ、私の耳をひっくり返して遊ぶのは出来ればやめていただきたい。ムズムズして苦手なんだ。 モリーが教えてくれた。国を滅ぼしたのは【G棟】と呼ばれていた所にいた、生贄……もしくは生体兵器の素材として用意されていた少女だったという。 https://ai-battler.com/battle/ee5eca2a-1775-4ef7-8a66-804fa3344ef1 セーレが言っていた箱は、どうやらパンドラの箱だったらしい。あらゆる厄災が雪崩れ込み、僅かばかりの希望がこの世に留まった。 ───────────────── 誰が死のうと、国がいくつ滅びようと、世界は関係なく回った。 双子兄妹【ハルファス】と【マルファス】は手を繋ぎ、互いに身体を預けた。 「ずっと一緒」 「大好きだよ」 https://ai-battler.com/battle/dec16be3-58ad-4871-b7c8-0670234cc092 射手【レラージュ】は傷を塞いだ。 「わたしは悪くない。けど、誰かに苦しみを強いるのは悪いこと」 https://ai-battler.com/battle/cf74bf53-c1df-4ef7-857c-c16fe9255446 仔犬【グラシャ=ラボラス】は静かに語った。 「世界ハ醜ク、美シイ」 https://ai-battler.com/battle/8e8f94b7-dce3-45bb-a8a8-cc81915429a7 聖騎士【アンドラス】は聖剣……否、【呪剣アンドラス】から手を放した。 「生きる事で救われることもあるのだろうか」 https://ai-battler.com/battle/e19c4646-37fb-4718-a7c7-084b73627b2f ろば【ガミジン】は静かに目を閉じた。 「時には過去を振り返るのも悪くない」 https://ai-battler.com/battle/36a32dd4-849d-4a69-b5fa-46d69c2bf2f6 魔女【グレモリー】は拳を向けた。 「また寝ぼけても、目覚めるまで何度でもぶん殴ってやる」 https://ai-battler.com/battle/ec7c49a5-f2c0-4fa6-98a1-2fccfcb37655 希望を喪った女性【アリアドネ】は贖罪の糸を紡いだ。 「残りの厄災を止める為、この地獄をひた走ってみせる」 https://ai-battler.com/battle/1c34c5aa-53d2-4d63-a07b-fa3abb2c8f73 そうして何度散っても、この命は世界に何度も芽吹いた。 ───────────────── 強い力にはそれ相応の責任が伴う。どれだけ居心地が良くても、同じ所には留まれなかった。あまり長くいると、人々が自らの力で立ち上がり、成長しようとする機会を奪ってしまう。 いろんな国を回った。どの国も戦禍で弱りきっていた。 弱りきった世界の傷口から、多くの厄災が溢れ出ていた。違法な売人。魔物の群れ。人攫い……終戦を知らずに暴れ回る生体兵器。 それらを倒して回った。多くの子供を地獄に堕として手に入れた力で。 私は私のことが今でも嫌になる。 どれだけの感謝の言葉があっても、それは私に向けられたものではない。 地獄に堕とされた子供達の怨嗟の力だ。この力の本質は悪だ。どれほどの言葉や功績で飾り立てようと、それ以上でもそれ以下でもない。 それでも、この力が誰かの為になるのなら。 多くの命が絶望に打ちひしがれ、それでも繋いだ希望。それらを守る為に使おう。 きっとそれが、私の為にもなるだろう。自分を信じられるようになる為、例え悪しき力でも、誠実な者を守る存在で有り続けよう。 「正しくない楽な道の奴隷にならず、誇りと信念を貫け。それが生きるということだ」 自分でも訳が分からない事を言っていると思うが、私は何度か死んでいる。 それでも私はまだ生きている。 生涯を懸けて最適解を探し続けよう。 私の全ては、誠実な心を持つ人々の為にある。 ───────────────── 【元被験体データ】 No. 【S-35】 コードネーム:【マルコシアス】 天命果たし、本来の姿に返り咲くまで何度でも復活。