生まれながらにして、私は膨大な才能と魔力量に恵まれていた。なんでもできて、この世界に飽きてしまった。そして、私は他の世界を見てしまった。 この世界では【才能の魔女】と反乱を恐れ崇め奉られるだけだった。それがとてつもなく窮屈で退屈でなにより苦痛だった。 私いつしか「平等な関係」というものを望むようになった。世界が私だけではなく他の者にも才を与えるよう祈った。私に肩を並べる子供が生まれれば、私は念願の平等な関係を結ぶ事ができる。 しかし、この世界の魔法というものでは生命を自由に作り出すことはできなかった。私のすぐ次に才を持って生まれる子供は生まれないだろう。 流石の私でも寿命を魔法で抑える事はできない。だから、旅をした。 私は目的だけが明確なまま、どこかへと風の魔法で快適に他の世界へと向かった。気がつけば、そこは岩石が四角く彫刻され幾度となく、積み上げられた三角形型の物の頂上に居た。 現地の者とは言葉が通じず、私は不審者扱いされ、いきなり攻撃を仕掛けられた。現地民は私が知らない力を扱い、攻撃をしてきた。私は勿論防御はするが、現地民の協調力、息を合わせた戦い方によって、私は簡単に敗れた。 私は対等な関係を、平等な関係を見せつけられ、そして木の十字架に貼り付けにされた。人々が火を放とうとしたものの、未だ死ぬ訳には行かない。 氷の魔法を使い、私は現地民を全員冷凍させた。しかし、死ぬことはない。だが、この先自然に目を覚ますこともない。覚ます事があるなら、それはひとが助け出した時だ。 私がこの世界に来てから、三年が経とうとしていた。どうやらこの力は異能と言うらしく、私でももしかしたら発現するかもしれないのだとか。 私は望んだ。生命を生み出す力を。もしくは、寿命を超越する力を。 それから一年後、私にも異能が発動した。発動しようとはしたものの、発動することができなかった。だが、私に異能が発現したことは確信していた。 今日も強者狩りとして、異能を扱う強者を倒しに来ていた。戦いの最中、私の視界がぼやけ、私は強烈な一撃を食らってしまった。どうやら連日の睡眠不足が災いを呼んだらしい。 私の脇腹は抉れた。しかし、痛くも痒くもなんともない。だが、死への恐怖はある。本当にヤバい傷はこういう痛みという感覚がない傷だ。 私は死を覚悟した。しかし、メリメリと音をたてながら私の脇腹は骨から元に戻り、肉、皮と言う順で綺麗さっぱり再生した。 私はなんらかしら再生の異能を手にしたのだと確信をした。しかし、攻撃手段は魔法しかない為、そこはやはり落雷で強者を狩った。 強者を狩り尽くした頃、私は再び退屈になり、他の世界へと出向いた。前よりも爆速な風の魔法で世界を移動する。世界の移動はやはりなれず、移動酔いをし、私は気を失った。 気がつけば、私はオンボロな木小屋のベッドで目覚めた。私は何故こうなっているのか、近くに居た耳が長い少女に聞いた。 どうやら彼女が私をこの小屋で運んでくれたらしい。そして暫くの間お世話になるだろうから、私は自己紹介をした。すると、相手も自己紹介を返した。 どうやら目の前の少女は「ミルト」と良いエルフという種族の末裔らしい。そのお陰で長寿らしく、幼い外見とは裏腹に現在300歳超えらしい。 私はこの色々と説明をしてもらった。まず、ここは山奥にある小屋らしい。そしてミルトは魔術師と呼ばれる肩書で、中級なのだそう。ミルトは自然を愛し、戦闘を嫌っていた。 そして、魔術というものに最近興味が出ていたのだそうでミルトは大好きな自然、つまり生命の魔術について研究していたのだそう。 そして私とミルトが出会ってから、200年が経とうとしていた。私の異能はどうやら老ける事もないらしい。私はミルトに魔術を教わりながら、ミルトと共に生命の魔法について研究していた。 ミルトは特急魔術士とは行かないものの、上級魔術士の中でも中々にトップクラスだった。私はこのような物で初めて人に負けた。私の才能は誰も追いつけない物だと思っていたが、まさか常に一歩先を歩む者が現れるとはとひしひしと実感していた。 だが、成長に限界はつきものなものだろう。それからはミルトの魔術士としての才は止まり、私はミルトを追い越した。ミルトは嫉妬なんて見せずにシンプルに私を祝った。 ずっとこんな時間が続けば、私は幸せに生きられる。だが、生命に寿命はつきものだ。どんどん大人びるミルトの姿と、いつまでも変わらない幼い私の姿を見比べていると、いつの間にかミルトは老いぼれて、老衰していた。 私は孤独になった後もミルトの生命の魔術を完成させようと、研究をした。しかし、どう頑張ってもミルトが記載したような物にはならなかった。私は700年も経った頃、遂には諦めがついた。 私にミルトの真似はできない。ミルトの生命の魔術を感性させるどころか、足元にも及ばない。私の生命の魔術は不完全でミルトの劣化版だ。だから私は生命の魔術ではなく「生の魔術」と呼んだ。 この世界で長年生き、長い時間声明の魔術に費やして、様々な魔術を学びそして扱えるようになった。 唯一扱えないのはミルトの生命の魔術だった。 私は900と4年が経った頃、元の世界に戻った。私の失踪は事件として記録されており、誰からも忘れ去られていた物だと予想は立てた。だが、綺麗に外れた。 900年前と変わらず人は私を崇めた。反乱を恐れご機嫌取りを続けた。そんな人達に私は嫌気が差し山奥に小屋を立ててひっそりと過ごしていた。そして、帰ってきた私を人々は別の名で呼んだ。【強欲の魔女】と ────────────────────────── カミラムが(よく)使うであろう魔術と魔法(記載されて居ないものだけ) 【風爆の魔法】風の魔法。移動のみに使う 【光灯の魔法】光の魔法。ライト 【消失の魔法】闇の魔法。姿を闇に包み隠す 【熱湯の魔法】火と水の魔法。カップメンは正義である。 【氷鎧の魔法】氷の魔法。頑丈な鎧を纏う。 【電撃の魔法】電気の魔法。AED 【風外の魔法】風の魔法。攻撃を弾く。 【催眠の魔術】「汝の欲よ、汝の意識よ。今我が手で失われよ」眠らせる 【再生の魔術】「自然の力よ、森の意識よ。我に力を貸し給え」動植物を再生させる 【見破の魔術】「我の五感よ、汝の意識よ。我に真を教え給え」対象が嘘をついていないか見破れる 【分析の魔術】「我の触感よ、世界の物質よ。今我に力を貸し給え。暁には必ず報いを与えよう。」対象を触った時分析する。使用後は何かを捧げなければならない。 【隔離の魔術】「汝の位置よ、我の意識よ。汝に新たな位置を与え給え」対象を自分が設定した位置にテレポートさせる。