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【鮮赤の白薔薇】 ローズ・リリー /薔薇園の管理人にして薔薇園に囚われた少女

■□■□■□■□■□■□■□■ 名前:▓▓▓▓▓▓▓▓ (ローズ・リリー) 身長:最後に測った時は150cmほどでした。 体重:薔薇200本くらいかと。 一人称:私 二人称:貴方 好き: 薔薇を眺めることです。 本を読むことが好きだったと思います…? 嫌い: ・薔薇を傷つける人は許しません。 ・薬とか苦いだけで効かないので嫌いです…… 気にしていること ・この広い薔薇園をほとんど一人で管理しているのでこれでもなかなか大変なのですよ…?。 ・小さいですし…その、あんまり可愛くないので……その、やっぱりなんでもないです…! 習慣 ・薔薇にお水上げて眺めてるだけで一日が終わっゃいます。 経歴 気がついたらこの薔薇園にいたのでわからないです〜! □■□■□■□■□■□■□■□ 【鮮赤の白薔薇】 彼女は昔から薔薇というものが好きであった また彼女には心から愛し、尽くそうと思える彼がいた 二人は愛し合い、いつか薔薇で囲まれた美しい村はずれの教会で契りを結ぶ…そう誓い合っていた しかしそれは起こり得ない話であった 運命は酷く冷たく、また残酷であったのだ 彼女はいつしか血を吐くようになった 初めはほんの少し、薔薇の花弁程度のものであった しかしそれが2枚…3枚と増えていき体もまた立つことすらままならないほどに萎れていった それは近頃巷を騒がせている死病、その症状そのものであった 曰く生きたまま腐りゆくと、また悪魔に憑かれたように幻覚に囚われ狂い死ぬのだと またその曰くを別にしても人に酷く移りやすく身分や徳の高い人も平等に憑き殺す呪詛のようなものであると伝わっていた 彼女は教会から程近い普段は猟師の納屋として使われていた小屋に押し込まれた 食事と気休めにもならない薬を扉越しに受け取る時以外に殆ど人を見ることすらない孤独と少しずつ、しかし確実に命を削りゆく死病との絶望的な戦いを送っていた しかしその時も彼は村での立場が危うくなることすら顧みず日が沈む直前に彼女の小屋に訪れ、ただ一人だけ以前のように優しく今の村の話などを聞かせていた それは時間にすれば数分程度であったが確実に彼女の心の救いとなった そして彼は最後に少し扉を開け、薔薇の花を彼女に差し入れるのだ 彼が花畑で見つけた美しい薔薇 それはまるで彼がそばで見守ってくれるようで挫けそうな心と今にも病に斃れそうな生命を強烈な決意と執着心で現世へと繋ぎ止める命綱でもあった 1本目は一目惚れ 3本目は愛しています 9本目はいつもあなたを思っています しかし彼女の病は一向に良くならずむしろ確実に彼女を蝕んでいた そして同時に彼もまた彼女の冷たくなりゆく体と同じように冷淡で淡白になっていった 渡す薔薇も適当で、棘のあるものになっていった 15本ごめんなさい 16本は不安な愛  そして18本目の日彼女の病はいよいよ酷くなり小屋は彼女の血で色褪せた薔薇の如く染まっていった 彼女は枯れ始めつつある17の薔薇の束を抱きしめ、新しく造ったという薬が聞くことを祈りつつ彼を幻視し孤独を癒やしていた その時窓の外からずっと聞きたい声が聞こえた 彼女は鉛よりも重い体を起こし窓へと目を向けた 彼が花畑に立っていた 自身のために良い薔薇を探してくれてるのだと思い嬉しく思った しかしそれは違った 彼は誰かと話しているような様相であり、窓枠の外からその相手が姿を表した それはこの村に居着いた薬師の娘でありいやに親しげに両手を伸ばしながら彼のもとに走っていった そしてそのまま手を組み合って… 愛おしそうな目で顔を合わせて……… 彼女は咄嗟に目を逸らした 17本は絶望的な愛 生きる意味の殆ど全てを失った彼女の様態は階段を駆け下りるがごとく悪化していった 弱り果て幻覚に魘される彼女の心はあの出来事を 「「「薬師の娘が一方的にやったことと」」」 と深く信じ込み朽ち果てゆく心から底知れ無く生まれる独占欲と怨嗟で強引に繋ぎ止めてゆく されど肉体はいつしか限界に達し彼女は不本意な眠りについた 彼女の小屋は検疫の名のもとに焼き払われ灰の一部は彼女が愛していた花畑に撒かれた それから間もなくして教会で一組の男女の結婚式が行われた 村中の人々が集まりその男女を祝福していた 心地よい風と暖かく照らす太陽すらも二人を祝福しているようであった やがて日が落ちたころ式典はいよいよお開きに近づき最後の盛り上がりを見せる頃、それを否定的な感情で見つめる2つの異物があった 一つは不幸を好む悪魔でありこの村を包む幸福そのものを唾棄すべきものであると感じていた しかし魂を持たないこの悪魔は現世に肉体を持てず、この式を破壊できないことに憤りを感じていた その時悪魔はもう一つの異物に気がついた それは今にも消えてしまいそうな泡沫の魂であった 悪魔は気まぐれにその魂に力を与えた 魂はその中に煮詰まっていた膨大な独占欲と執着心に力を絡ませながら実体化していった 薔薇が花開いた 108本は結婚してください その瞬間に村は瞬時に薔薇園に飲まれて消滅し教会は薔薇園の中心に存在するガゼボへと上書きされた そしてその異様な光景に反応できる前に半分以上の村人は蔓に足を取られ地中へと飲み込まれていった 二人の男女は運良く、或いは意図的に生き残りあたりを見渡した そこに"それ"がいた 女は悲鳴を、男はなにかを言おうとしたが口が開いた時に声は出なかった 代わりに口からは薔薇の花弁が落ちた 錯乱したのか逃げようとした女はガゼボから出た瞬間に吸い込まれるようにして地中へと飲み込まれていった "それ"は日が落ちて肌寒さを感じるほどの風に服の裾を靡かせながら男に静かに向かっていった 男は必死で薔薇だけを吐く口で許しを請うていた その時建物の陰に隠れていた村人が"それ"に向かって飛びかかった 村人の手にはケーキカットで使っていたナイフが握られていた 村人のナイフが"それ"を差す直前、"それ"は何もしていないように見えた 村人は恐怖で目を瞑っていたがたしかにナイフを突き立てた しかし肉を裂くような硬い返答はなかった 村人は恐る恐る目を開くと自身のナイフが薔薇のブーケへと変わっていた 365本はあなたが毎日恋しい 状況を飲み込めない村人はただ恐怖でそこに立ち尽くし、間もなく蔓によって消えていった いよいよこの薔薇園には男と"それ"以外の存在は消え去った 男…はガタガタと震えるばかりであったがここで意を決して"それ"に震える足で近づいていった そして"それ"にその名を読んだ "それ"は一瞬目を丸くしたような表情を浮かべた 男はそうであるならと"それ"を抱きしめようと手を伸ばした しかしその時、薔薇の蔦が伸び男を拘束した 男は必死に抜け出そうとしつつ必死で弁解を行う しかし"それ"は冷淡であった いな"それ"は彼女ではなかった 彼女は死んでいるのだから しかし彼女のように寂しがり屋な"それ"は孤独を酷く嫌う そして男もまた地中へと埋葬された そうして静かになった薔薇園で"それ"は天上へと登った白薔薇のような満月を見上げた それから彼女の唯一覚えている物、薔薇で満ちた世界を見つめる そして何十もの悲哀の魂に見つめ返されることにおおよそ満足感と言えるような感情を感じた 何を、誰を待っているのかすら覚えていない指輪は薬指で鈍い光を放った 999本目、何度生まれ変わってもあなたを愛します ▶ ここまで読んでくれた貴方へ 「貴方に白き薔薇の祝福があらんことを。」 「朝焼けの、良き日が訪れますように……」 「それじゃ…ばいばい……」