【暗闇】 『進化の核』移植後に発現した、シランの魔女としての固有能力。 基本形態は黒い霧状だが、使い手の意思によって自由に形状を変化する事が可能。 また、シランが休眠状態に陥っている間は霧が乳白色に変化する等、状況に応じて外見や性質にも変化が見られる。 その本質は精神への直接干渉にある。 暗闇は認知機能に作用し、知覚を狂わせることで対象が認識する世界を支配する性質を持つ。 精神を介してあらゆる感覚を自在に歪めることが可能であり、暗闇に囚われた者は現実と幻覚を区別することが極めて困難になる。 物理的な干渉力こそ持たないものの、悪意を持って行使すれば対象の精神を押し潰し、破壊することすら容易な極めて危険な能力。 【暗闇の性質】 暗闇は包みこんだモノを外部から完全に遮断してしまう性質を持つ。 暗闇が展開されている間はシランの持つ膨大な魔力は一切外に漏れる事がなく、あらゆる探知魔法を容易にすり抜けてしまう。 暗闇が完全に晴れる事は滅多になく、その性質ゆえにシランを透明な怪物へと変貌させていた。 その一方で、暗闇を纏っている間はシラン自身も盲目同然の状態に陥り、周囲の状況は暗闇の表面から得られるおぼろげな情報からしか把握することが出来なくなる。 無意識の内に人里を避けていたという理由もあるが、結果的にこの性質は異形となったシランがその力に見合う程の惨事を引き起こさずに済んでいた要因にもなっていた。 【暗闇の夢】 ユナの死後、シランは暗闇の力を自分自身に使い、何重にも暗示を掛けることで深い催眠状態に陥っていた。 彼女が休眠状態に陥っている間、暗闇の中ではかつて『叡智の家』で過ごした平穏な日常が繰り返されていた。 だが、催眠は決して完全なものではない。 核の力が強まる度に暗示は薄れ、幸福な夢は地獄の記憶に侵食されていく。 平和な日々は壊れ、やがて全てを思い出して暗闇の中で目を覚ます。 そして再び暗示を掛け、平穏な夢の中で全てを忘れ…。 暗闇の中を彷徨い歩きながら、その繰り返しを延々と続けていた。