・飛頭蛮の進化種族“分飛体” 飛頭蛮とは中国に伝わる頭部が胴体から離れ、耳を翼のようにして空中を飛び回る妖怪だ しかし戦闘する時において飛頭蛮は断頭が死ではない、頭と胴体で連携できるぐらいのメリットしかない 分飛体は分裂できる場所を全身に変え、生存率を高める方向に進化した種族 つまり全身の切断を無効化できるようになった上位種なのだ クナ・ロデュ・ハーンの血族は数代前に西洋の飛頭蛮ーーーデュラハンなる種族と血を混ぜた 同じ首と胴体に分かれる種族からかデュラハンは元々同種で環境に合わせて別々の進化をした種族らしくハーフの子を成せるらしい 末代であるクナはその能力に新たな発想を乗せた 飛頭蛮から発想されたかもしれないろくろ首は首が伸ばせる能力を持つ それは専用の収納器官があるわけではなく、あくまで超常的現象 つまり妖怪は新たな質量を生めるのではないか?とクナは発想した その結果生まれたのが現在クナが保有する分裂能力だ 分飛体は身体が分裂すると言っても切り離す、接合するの二択で増やすような事は出来なかったのだがクナは大量に分裂する技能を考え、それを可能にした 細胞分裂と異様に出来た肉の塊を体外に出す機能さえあればそれは可能だった 結果、沢山分裂した腕で全方位からの攻撃や防御、再生などなどを有し、クナは分飛体の中で強い存在とされたのだ だがある日のこと デュラハンの権能が目覚めてしまう 強くなってしまったからか西洋に渡った際にデュラハンから権能を得ることを提案されたのだ 死を予言し、執行する存在のデュラハン デュラハンは同種である筈なのに死神のような権能を握っていたみたいだ 生きるために死に縋ったのか? それとも誰か一人が志願して世襲的に沢山のデュラハンが担ったのか? どちらにせよデュラハンの血族は執行者の権能を振りかざす死神だった クナは受け入れなかった 悪戯好きだがクナは誰かを殺すことを良きとしなかった 死を待つ者に執行を成すなんて それがやがて訪れる決定の死とはいえ自分が殺すようなものだと その時はその考えだった けれど内なる能力は分かってしまった デュラハンのことを考える度に誰かの死期が見えてしまう 死神により死を確定する日をーーー 嫌だったなぁ 確定したその日、剣身のない剣に魔力がこもる 察知して輝く 何故か執行者としてのデュラハンが剣に心を寄せて 本日の執行者となれと心が叫ぶ その剣を握れと心が叫ぶ 時間が近付くほどそれは強くなりーーーー 胴体が勝手にその剣を取ろうとする 脳の指示を胴体が破り少しずつ手が剣に寄せられ ーーーーーー握ってしまった 握ってしまえば後は早い 執行者として歩を歩み、胴体が無理矢理体を操作する 「クナ……?」 刃を構えて入ってきたクナに本日執行予定の老人は疑問を浮かべる 「やだやだやだやだ!!やめてやめてやめてやめて!!」 全力で制御しようと踏ん張るのに胴体の動きは止まってくれない せいぜい鈍るだけだ 剣の間合いの内と外のスレスレに立ち腕は刃を振り上げる 「どうしたの……?クナ」 「ごめん!ごめん!!……ごめんなさいっ!!!」 振り上げられた執行の剣はそのままクナの抵抗も虚しくただ無慈悲にーーーー振り下ろされた 紅い血が宙に飛び、クナの視界を紅く紅く染めていく 「………」 最早何も言わぬ亡骸 胸を一文字で斬られ再生することも無く事切れていた “執行”が成されてしまった 「殺ってしまった……私が……私が?」 これほどまでに血筋を恨んだことはなかった 殺しの感覚が手に伝わってきて身体が震えた これが執行なんて嘘だと何度も否定したくなった 殺人と何が違うんだ?と何度も何度も思ってしまった この人の明日をクナは奪った デュラハンとして執行者として 「……なんで私を許すの?」 クナは剣との隔離を願った 自身の刑を願った でも 「執行の剣による執行は殺人じゃない ただあるべき死 生きすぎた先にある死なんだよ」 周りはそう答えた 斬って殺すのは果たして良い殺人か? わかんなくなった 自分は何をしているのか 殺したくないのに何度もその刃で絶って絶って絶ってきてしまった 剣に操られるままに沢山の人に執行という名目で執行の剣で斬り殺した いつの間にか自分の周りには友がいなかった 自分が避けていたのか避けられていたのかわからない けれど分飛体でこうなるのは私しかいないから誰かを頼ることも出来なかった 西洋に渡り尋ねた 「あの時私は断ったよね?」と 「ああ、そうだな お前は断っていたよ だからデュラハンにはならなかったじゃないか」 そう答えは返った 何かしたのはデュラハンじゃあない デュラハンじゃあないのならなんなの? 「なぁ、もしかしてアッチで出ちまったか?」 デュラハンは尋ねた 私は首肯する 「……君は嫌だったのに選ばれてしまった訳か」 選ばれる?何に? 剣か神が勝手に成したと? 「なら俺らデュラハンの術を教えてあげるよ 選ばれた以上君は非情に剣を振り下ろさればならぬのだから」 クナはそうしてデュラハンの術を学ぶ為にデュラハンに成って行くのだった 彼女は怪異になる他なかった 自分は怖い存在だと言うのを忘れぬように悪戯をよく行った 怖いあるあるも作った 深い関係を避けた 友達を少なくした 内心は良い人なのに執行時は非情を演じた 仲良い人に剣など振り下ろしたくなかったから仲良い人をあまり作らなかった 泣いて執行が遅れるのを避けるためにーーー ただ時に孤独を覚えるのも事実 敢えて良い奴なのは隠していない いや常に辛気臭くいるのが嫌になっただけかも 能力にこれ以上悩まされたくないけど友達は欲しいなとは感じてる ただ死期がわかってしまうのはやっぱりメンタルがキツイなぁ…… いつだろうね 悪戯好きになったの 初めは悪戯は妖怪であると怖い存在であると主張するものだと思ってたのに やっぱり私は怪異なんだね化け物だ 悪戯に好感を覚えてきてる 分裂って生き残り戦略じゃあなかったっけ? いつ分飛体って怪異って呼ばれたんだっけ? もう思い出せないや…… 自分の性格、読んでもらったよ 当たってるところもあったけどやっぱり分かられないものだね 自分の能力は誰かを回復させるもんじゃないのに 私は友達が欲しいけど友達を斬りたくはないから孤独なんだ 誰かを守りたいし救いたいし仲良くなりたい けれど私にはそれはできない だから困ってるのに いや、それでも悩みを少しでも話せたのはメリットかな 自分の性格が善寄りで良かった 私、悪戯ばっかりするからそういうレッテル貼られたりは結構あったし まぁ執行の剣でいつか断たなきゃいけないから人殺しの汚名被るのも当然なのかな 嫌だなぁ……秩序は