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【猟犬演武】バイツ

午後2時頃。 とあるショッピングモール。 キラキラとした吹き抜けの下、人混みのなかに女子学生がふたり。午前で授業を終え、暇になった学生達はショッピングモールに集まるようだ。 ゲームショップの一角。バイツは大好きなゲームの公式グッズコーナーでひたすら商品棚とにらめっこしていた。 ほかの学生と同じようにただの制服なはずなのに、どこか上品な佇まい。しかし手は小さく震えていた。 「なぜ……なぜこんなにも……!」 小学生のように純粋でキラキラとした熱い眼差し。アクリルスタンドにフィギュア、俗にいう“推し”のあれこれ。 それを一歩後ろで見ながらニヤけている同じ制服をきたお友達。 「なーに固まっとんねん?バイツちゃんw」 「マイ!どうすればよいのですか!?」 「いや、しらんてw」 バイツは少し頬を赤らめながらも真剣そのものといった表情。 「とっても尊いのです!特にこのフィギュア見てください!稀に見る出来の良さです!しかし今月のお小遣いは八万三千二百二十七……!琉瑠の整備とカートリッジの費用で六万は使ってしまうとして……。」 「細かっ。」 「ここで購入してしまえば二万をきってしまいます……そうすると寄付金に回せるお金がいつもより百四十六も低くなってしまうのですぅ……」 棚に手を伸ばしてみたりみなかったり。 ここにとどまってから既に30分が経とうとしていた。 「欲しいんやったら買えばええやん。」 「でも、そうしたら……」 「何もムズカシイことあんならあのええ顔した執事さんにでも相談したらええんとちゃう?」 「そ、それは……」 「べつにええやん。計算してやりくりできる力があるんやったらね。ジブンはそれ欲しいんやろ?」 「ほ、欲しいです!」 マイは商品棚のものを取ってバイツの持っている買い物カゴに入れる。カゴを持っている時点で何かしら買いたくてしょうがないという彼女の心情がみえてしまっている。 「そうゆーんは悩まずに買い。欲しい思うてんならそれ以外のなにもんでもないやん。」 「っ!」 レジへ向かう足取りはまだ緊張していた。 結局は紙袋を抱え、上機嫌そうな足取りでショッピングモールを後にした。 「こ、これは精神的充足への長期的リターンを見込んだき、極めて合理的な支出ですの。」 「はいはい。」 P.S.関西弁への解像度は低い。