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狂乱の砂ペロマン

一年前、私は砂埃舞うグラウンドに立っていた。私の周りを部活仲間が囲っている。私は、とある賭けに負けた。そしてその代償として、グラウンドの砂を舐めまわした。それが、私が"其れ"と出会った決定的瞬間だった。 私は、これまでなぜ、地面を舐め回さずにいられたのか、不思議に思う程の旨みが、其処にあった。 きなこの様な、その中に感じる鉄に近い味。 …素晴らしい。 この世に生まれ落ちてから、其れは恐らく私にとっての最も偉大な発見、そして、 私の生涯における主食が定まった瞬間だった。 其れから、私は様々な地面を舐めた。池の近くの苔むした地面、学校の階段、教室、そして、雨上がりの道路。どれも風味深く、独特な味がとても素晴らしい。 嗚呼、神よ、この素晴らしい世界に私を産み落として下さり、有難う御座います。 その言葉が私を包み、そしてより食欲を掻き立てる。 私は、何故、皆が地面を舐め回さないのか、理解ができない。この世で最も美味い美食の到達物が、そこら中にあるのにも関わらず…。 皆よ、目を覚ませ。そして舐めまわせ。 私と共に、地面を皆で舐め回そうじゃ無いか?この世界が終わるその日まで。