○アスファのストーリー 革命軍の中でも指折りの実力を持つ風を操る魔導師。 だが、彼女は決して名家の生まれでも才能に恵まれているわけでもなかった。 ───彼女をここまで強くしたもの、それは父親と師匠の死だった。 【①始まり】 ある日突然、父は目の前で帝国の軍服を着た男によって殺された。父の事は大して好きでもなくむしろ疎んでいた。その日もついてくる父を鬱陶しく感じていた。彼女は距離を取ろうとした瞬間、惨劇は起きた。 それは刹那の出来事だった。次の瞬間には父は地に倒れ伏し、物言わぬ屍となっていた。しかし、彼女はその瞬間を間違いなく目撃し男による凶行だと確信した。 だが、それ以外の証拠もなく警察や弁護士に必死に訴えてもまともに取り合ってくれない。やがて事件は世間を騒がている通り魔の犯行だと扱われた。近い内にその通り魔が逮捕された事で事件は解決したものとして処理をされた。 通り魔の顔はメディアを通し帝国中に拡散されたがそれを見たアスファは驚愕した。その風貌は男とはまるで違っていたのだ。一般臣民だった彼女の心に疑念が生まれた。 「帝国によって不都合な真実は歪められ、永遠の闇へと葬られたのでは?」 アスファ・ヴェンティが魔導革命軍に入る理由はこれで十分だった。自らの手で真実を勝ち取るしかもう術は残されていなかった。 「真実を明らかにしてやる…!」 ---------------------------------------------- 【②苦汁の日々】 アスファは革命軍に入ると教官の元で着実に魔術を習得していった。貴賤関係無く接する革命軍ならではの風土や教育熱心な教官もその一因ではあったが、なにより大きかったのは彼女の血の滲むような努力と鍛錬だった。 ところが鍛錬を重ねていけばいくほど、彼女は自身の限界を感じ始めるようになっていた。魔術以外の適性が低いため、前線で戦う為には魔導師を目指すしかない。しかしそれに求められる魔術の技能レベルはあまりにも高く到底及ばない事を実感するようになっていったのだ。 それでもアスファは鍛錬を続け様々な可能性を模索していった。革命軍の優秀な魔導師達に教えを乞う、珍しい魔道具や魔導書の情報を聞きつけたら一目散に調査に向かうなど彼女は必死だった。 「…あたしは、絶対に諦めたくない!」 ---------------------------------------------- 【③精霊との出会い】 そんな苦肉の日々が数年にも積み重なったある日、アスファはとある魔道具を手に入れた。 それは札が幾重にも貼られた立方体だった。 話によると箱の中には強大な力を秘めた風の精霊・イオスが封じ込められているという。精霊は契約を結んだ者に絶大な魔力と神秘の魔法を与えると言われるが、彼はとても気まぐれで誰とも契約を結ぼうとしなかった。戦力にならない、かといって敵の手に渡ったら強大な力になりかねない…そんな危険な存在だと判断され時の権力者と大魔導師の手により箱に封じ込められたのだという。 強固な封印がかけられている上に解呪が上手くいっても精霊は自分と契約してくれるとは限らない…そんなリスクの高い賭けでもアスファにとっては一縷の望みだった。その日から彼女は箱の封印を解呪することに専念した。 幸い彼女が必死に学んだ魔術の知識や教官の助力もあり、箱の封印は順調に外れていった。そして数日後にはついに蓋を外すのみとなった。 立方体を開けようとするアスファの手は震えていたが、意を決してそれを開いた。 その瞬間箱を中心に突風が巻き起こった。凄まじい風圧で倒れこむアスファ。風はしばらく吹き続けたがやがて収まった。アスファが起き上がると… 「やあ!君が封印を解いてくれたのかい?」 一目でわかるほど異質な力を持った存在────風精イオスがそにいたのであった。 (あ、あれが精霊さん…?) --------------------------------------------------------- 【④契約】 そこに在るだけで異質な質量を感じ取れるほどの雰囲気を持った存在──風精イオスは、辺りを一通り見渡すとアスファの方を向いた。 「君が、僕の封印を解除してくれたのかな?」 未だに茫然としているアスファは無言で頷くことしかできなかった。 そして何かを察したような様子で精霊は話を続ける 「僕の封印を解除したのは何やら理由があるようだね?聞かせてもらえるかな?」 彼女は少し悩んだ後、話を始めた。父の死、帝国への疑念、力を欲している事──── それを精霊は黙って聞いていた。 ----------------------------------------------------------- (書きかけです…。AIバトラー公式discordで続きのプロット公開してます)