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【風閃の魔法使い】セリア・ソーズド

☆リンク表の下にSSもあるので長いです☆ ※時系列セリア表 【幽賊】https://ai-battler.com/battle/69fbced4-15d4-4132-a75b-7d6378b3a71c 【風隠】https://ai-battler.com/battle/961a88f3-3ea0-4f70-9fd6-2125c381f929 【風舞】https://ai-battler.com/battle/09baabcd-2481-44ea-8a19-90f72ac1f031 【風閃】今ここ! 【風幻】https://ai-battler.com/battle/a9968f05-4237-43c1-a329-f7b80428d3ad ※番外編セリア 【甘味】https://ai-battler.com/battle/609c3e09-f7c6-4897-a236-25ca06a2de3f 【祭典】https://ai-battler.com/battle/0fe525c6-910c-4123-9ba8-455df05f4350 【不在】https://ai-battler.com/battle/667f4a20-1613-4a00-ac6c-1f376ae9648f 【真夏】https://ai-battler.com/battle/fbc71486-d68c-4421-b06f-686f44df8d9f 【製菓】https://ai-battler.com/battle/aa254920-57bf-45bb-aaa5-459ea68ba423 【無情】https://ai-battler.com/battle/af3987f4-94bc-46c6-854d-47530f4285a8 【風詠】https://ai-battler.com/battle/da97d579-b005-449b-81dc-e2f396033078 【癒風】https://ai-battler.com/battle/49fb18dc-2f59-4baf-8884-e5527bb8ba6e ──セリア・ソーズド、剣を鍛える訓練の日々── セリア・ソーズドは荒野の訓練場に立っていた。 空には雲ひとつなく、真っ青な大地を見下ろしているような広がりを持っている。吹き抜ける風が砂を舞い上げ、遠くに霞んだ山々の輪郭をわずかに揺らしていた。 彼女の前には二人の魔法騎士──シャリア・ヴァルシオンとラインハルト・フェイズが立っている。 シャリアは鋭い眼差しをセリアに向け、赤い眼帯の下に隠された冷徹な指導者の気配を漂わせていた。彼女の銀髪が風になびくたび、その場の空気が研ぎ澄まされるようだった。 一方、ラインハルトは微笑を浮かべながら剣を肩に担いでいる。金色の髪が陽光に反射し、どこか軽やかな雰囲気をまとっていたが、その立ち姿には歴戦の騎士としての威厳が宿っていた。 「セリア、お前は今日の訓練で何を成し遂げるつもりだ?」 シャリアが問いかける。 セリアは剣を構え、決意に満ちた瞳で師匠を見つめた。 「風閃を完成させます」 「いい覚悟だ。だが、それを本当にものにするには、まず『風を斬る』という感覚を体得しなければならない」 シャリアは腰の剣を抜き、まるで風そのものを断つような鋭い一閃を繰り出した。すると、彼女の剣が通過した直後、空気が割れるようにして風が断絶し、しばらくの間、周囲の空気の流れが乱れた。 「見たか? これが風閃の真の形だ。ただ風を纏わせるだけではない。風を斬り、風を導く。それが真の技術だ」 セリアは息を呑んだ。シャリアの剣はまるで風と一体化しながらも、それを断ち切るという矛盾した動きをしていた。 「なるほどねぇ、風を斬るか」 ラインハルトが軽く笑いながら、自らの剣を手のひらで回した。 「でもさ、シャリア。セリアはまだそこに至る道の途中だ。まずはもっと基礎から鍛え直すべきじゃないか?」 「ならば、お前が手本を見せろ」 シャリアが冷たく言い放つと、ラインハルトは肩をすくめた。 「ま、いいだろう。セリア、俺と手合わせするか?」 「お願いします!」 セリアは剣を構えた。風が吹き抜ける音の中で、二人の間の距離がじわりと詰まる。 セリアが先に動いた。 彼女は『風隠』を発動し、音も気配も消して疾駆する。地面を蹴った瞬間、砂がほとんど舞い上がらないほどの静かさだった。 しかし、ラインハルトはその動きを見切っていた。 「なるほど、悪くない。でも──」 彼の剣が閃いた瞬間、セリアは背筋に寒気を覚えた。 『朧気』──空気の揺らぎを利用し、剣の間合いを錯覚させる技。 本来なら届かないはずの間合いに、ラインハルトの剣が突き出されていた。 「っ!」 セリアはぎりぎりで回避したが、ラインハルトの剣は彼女の頬をかすめ、風の切れ味だけで細い傷を刻んだ。 「驚いたか? でも、まだ終わらないぜ」 ラインハルトは一瞬で間合いを詰める。 ──速い! セリアは咄嗟に『風撫』を発動し、空気の手を作り出して自らの身体を押しのけた。かろうじて間合いを取るが、ラインハルトの動きは止まらない。 「いい反応だ。でも、俺の『疾風』を見切れるか?」 その言葉とともに、彼の姿が霞んだ。疾風の魔法で推進力を得た彼は、まるで風そのもののように消え、次の瞬間にはセリアの背後にいた。 ──完全に読まれている! だが、セリアは次の一手を準備していた。 「ここだ!」 彼女は剣を振るい、『風閃』の力を解放した。 風を纏った剣が閃光のように走る。しかし── 「惜しいな」 ラインハルトの剣が、まるで未来を予測していたかのように、それを迎え撃っていた。 「まだ甘い。お前の『風閃』は、風を斬るというより、風に頼っている」 セリアは息を切らしながら、剣を握り締める。 「……まだまだ、足りないってことですね」 「そういうこと。でも、成長はしている。次はシャリアに頼んで、もう少し細かく指導してもらえ」 ラインハルトは剣を収め、微笑んだ。 シャリアは腕を組み、鋭い視線でセリアを見据えた。 「お前の動きは悪くない。だが、ラインハルトの言う通り、風を操るのではなく、風と共にあることを意識しろ」 セリアは深く頷いた。 この訓練を乗り越えたとき、彼女の『風閃』は完成する──その確信が、心の中に芽生え始めていた。