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【全世界の権化】ルイ

退屈だったの。だからひとつ、遊びを思いついた。 世界をつくって、子供をひとり放り出してみようってね。 でもただ生きるだけじゃ面白くない。 泣けば世界が滅ぶ──そんなふうに刻んでおこう。 「ルイを泣かせるような世界なんて滅んでしまえばいいの」 そうすれば、世界は必死にルイを泣かせまいとするでしょう。 ルイもまた、泣くまいと必死になるでしょう。 それが可愛いと思ったの。 だから、子供の姿で固定した。 感情はわざと不安定にして、言葉もうまく操れないようにした。 けれど、泣いてはいけないという掟だけは、本能に深く刻み込んだ。 泣いてしまったら、その時は私が迎えにいく。 世界がすべて崩れ落ちても、最後にはルイを抱きしめてあげる。 それでいいでしょう? ルイは私の子、そして全世界そのものなのだから。