若いある日、俺はダンジョン調査員としてアーティファクトを集めて回っていた。 アーティファクトは基本的に生存確率が低めのダンジョンで見つかることが多く、大抵の冒険者は一つ手に入れただけでも伝説だとか言われるほどだ。 俺は運良く、4つ目までは見つけることができていた。 俺もまた伝説と呼ばれた。 しかしその日々はどこか空虚だった 初対面の人も俺に敬語を使い、尊敬はされつつも距離があった。 親しい友人も、俺が活躍してからはすっかり疎遠になった。 とても1人だった。 パーティーを組もうとすれば強すぎるからと受け入れられなかった。 …でも、たった1人だけ、各地を放浪する中で、違う人を見つけた。5つも剣のアーティファクトを持つ、天下五剣と呼ばれる女性だという。 山を越え峠を超えて、その人がいるという場所に逢いに行った。 その人は美しかった。しかしそれ以上に、強かった。 アーティファクトの練度はもちろん、力も強く技も俺より上。敗北を喫したが、どこか心地よく負けていた。 彼女は跪く俺に手を伸ばした。 彼女もまた、俺と同じような孤独を持っていた。孤独を埋める言い訳か、あるいは強者として認めたのかは定かではないが、2人で修行の日々が始まった。 少しずつ俺の実力も伸びてきたがやはり彼女の才能は凄まじかった。 それでも彼女は俺の成長を喜んでくれた。 また、ある日には旧い神が封印されたダンジョンに行って2人でアーティファクトを取って喜んだ。 ある日だった。俺が彼女に勝った。彼女は明らかに具合が悪そうであった。 顔が蒼く、熱を出していた。 倒れ込む彼女を抱え村の長に相談した。 結果、不治の病で、生きれても一月とのことだった。 俺は、一言だけこういった。「諦めたくはない。行ってくる」 何処ともなく走りだし、薬学に強いエルフの里や学問の発達した都市を訪ねて回った。 しかし20日以上経っても収穫もなく、このまま帰るわけにはいかない、と思いつつも逡巡の末帰ることに。 …帰った村では、彼女の葬式が執り行われていた。 最期を、せめて看取ることすら俺にはできなかった。「愛している」と、最後まで伝えることができなかった。後悔だけが重くこだました。 アルマの短剣が飛んできた。彼女の武器で、意思疎通がとれる代物である。彼女の死と、彼女の願いを淡々と喋った。それからはよく覚えていない。 俺は、気づけば十剣と呼ばれていた。10もの剣を操る、最強の剣士。と。 何の意味もない虚構と孤独が一層大きくなって跳ね返って来た。 例え強者がいたとて、それは彼女ではない。彼女でなければ意味がなかった。 自ら死のうとすればアルマの短剣が懇願しながら拒絶する。 ただただ、消えない呪いだけが俺の鞘に収まりつづけた。