昔々の話をしよう… それはまだ【我々】が人の子に見つかる前の話… ーーーーーーーーーーーーーーーーーー あるところにとある王国があった。 その王国は国民全員が不老不死であった。 その国の民の血はワインであり、肉は魔術をかけるとパンとなった。 その国の王は血と肉の魔法を使い、国民の願いを国が滅びない程度にかなえ、貧困と差別のない国を作り上げていた。 そんな国の王を守る騎士は特別な術を使えた。 人はそれを[ネクロマンス]という 自身の不老不死と引き換えに地と肉に関した術が使えるというものである エヴァもその内の一人だった。 あるとき、一つの蒼い大きな門が出現する 王は門に興味を示し、十分な準備をした上で開く その時 門から巨大な鉄の怪物が出現する 騎士団が持つ血と肉の術は生身の体を持たない彼らには効かず、苦戦を強いられる 王は考える 王は決断する 蠅の主、高き館の主、国の守護神、 彼に助けを乞う 彼はそれを受け取る ただし、一つの代償があった 血肉の術を扱う者一人とすべての領地と千年間貸りるというものだった。 「民の安全を保障してくれないか」 王は言った 高き館の主は言う 「よかろう。お主か母の名を持つ騎士が礎となるのなら民とその子孫の案礼を約束しよう」 王は快諾した ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー その晩、多くの羽虫が集まり、巨大な影の巨人となり、鉄の巨人と対峙する その戦いは 三日三晩の時を経て、影の巨人が勝利する その国の民は散り散りとなり、高き館の主の加護の元平穏に暮らしていた。 ただ一人、鉄の巨人が出てきた門の前に立ち尽くす彼女を除いて 最後まで王に忠義を尽くそうとしたエヴァは思う 王よ…どうして私を逃がした… 王よ…どうして自身ではなく国民を逃がした… 王よ…どうして自身だけで責任を負うと決めた… 王よ…どうして…何も悪くない自身を犠牲に… 王よ… わが主よ… ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー わが子よ… すまない… 彼女はそう言うと腹の中のわが子とともに門へと入る 彼女は 蒼に 包まれた