ログイン

【聖剣の勇者】エルゴ・スペサーレ

https://ai-battler.com/battle/4e159fe1-2fb3-478e-9953-d721554b26e4 「待て…。」 「まだ…」 「終わってないだろう?」 物語は…主人公が勝たないと、 面白くないじゃないか…! 体を、半ば無理やり起こす。 手が痛い。腕が痛い。足が痛い。地面を踏みしめることが、こんなにも痛い。 でも、この痛みより、アイツのせいで死んだ人のほうが、私より苦しい思いをしたはずなんだ。 生かしちゃいけないんだ。 必ず、排除しなきゃいけないんだ。 お前もそう思うだろ?『無謀』。 聖剣が輝く。 ──力が、湧き上がる。 ─もっと、強く、地面を蹴り、進む。 ────厄災の魔女が、見えてくる。 ─────剣を構え直し、そして… ──────その命、頂戴する!!! リディア 「─ッ⁉」 ──リディアは間一髪気付いたようで、最初の一撃は防御魔法に防がれる。 ガギンッ!! と、力強い音が響く。 反動で、体が大きく吹き飛ばされる。 今はすっかり雨が降っている。 あぁ、雲が泣いている。 リディア 「何故…!?何故、生きているの!!??」 強く戸惑った表情で、こちらを睨みつける魔女に、 「驚きましたか!?魔女様!私からの『サプライズ』は!!!!」 そう、言い放った。 リディア 「このっ…人外がッ!」 「何度来たって、変わらない…!」 「天穿つ水砲!」遅い、細い水の柱が飛んでくる。『無謀』で両断する。 「雷神召雷!」上空から雷が落ちてくる。『無謀』で切り裂く。 「世界樹の鞭!」半径5mくらいの木の根?が振り下ろされる。『無謀』で斬り刻む。 「ヘルファイアッ!」少し熱いが、その中から脱出する。 「─虹のッ…架け橋!!」 様々な魔法が飛んでくる。 私を殺すことを目指して、 地面から生えたツタが体を縛った。 前に進んで引きちぎった。 炎の玉が、眼前に迫った。 聖剣を振りかざし、両断した。 大量の水滴が、迫ってくる。 一つは足を。一つは左腕を。一つは頬を掠った。 天から稲妻が降ってきた。 聖剣を翳すと、その中に稲妻が吸収された。 城の半分は有るであろう氷柱が、倒れ込んでくる。 『無謀』に頼むか。 力を少し込め、聖剣を凪いだ。 少し間を開け、氷柱は、粉々になった。 ザク、 ザク 、ザク と 音が響く。 「盲目ッ…!」 視界が黒くなる。周囲の地形が分からなくなる。 だが、…………… お前の場所を見失うと思うなよ。 ザク、ザク と、 暗く、雨の音と共に、 一人の怪物(ゆうしゃ)が進む音が、 木霊する。 泥と雨水で薄汚れた魔女の前に立つ。 まだ、距離がある。 そして── 足元に降ってきた雨粒を踏み抜き、 再び魔女の眼前まで迫る。 リディア 「クッ…!」 ガキィンッ! 同じように、防御魔法に阻まれる。 だが、そんなに簡単に阻まれるなら、挑んではいない。 力を込め、聖剣を防御魔法に押し込める。 ギギッ!ギギギッ! 何かが軋む音がする。 グギギッ! リディア 「この…狂人が…!」 パリィンッ! と破裂音を立て、魔女と勇者を分け隔てた障壁が、 破壊された。 そのまま私は魔女に迫り、馬乗りになる形で倒れる。 首を絞める。魔女がその手を外そうと抵抗する。 最期の会話くらい、しておいた方が良いか。 首を絞める力を込緩める。 魔女が咳き込む。 リディア 「貴方は…なんなの!?」 「あんたみたいな化け物は…!人間なんかじゃない…!」 「人外がそれを言うのか?w」 思わず嘲笑が漏れる。 「ところで…なぁ、お前は、『どう死にたい』んだ?」 殺意を込めて、問いかける。 「…!」 「何を驚いているんだよ。」 「怖いのか?でもな、お前のせいで自分の望まない死に方をする人間が多くいるんだ。」 「選ばせているだけ温情じゃないか?」 …… 静かな時間が、過ぎる。 さっきまでの喧騒が嘘の様に、周囲が静かだ。 「なぁ…はやk そう言いかけたところで、魔女がニヤリと笑う リディア 「終末!!」 魔女の背後に、正気を疑うほどの魔法陣が展開される。 目に見えるその一つ一つに、高位の魔法と思われる紋章が刻み込まれている。 リディア 「魔女の力、舐めないで頂戴!」 「この魔法は、私が死んでも発動する!」 「いくら貴方でも、この量の魔法を喰らったら、生きていられ無いんじゃないの!?」 確かに、この量をまともに喰らったらいくら今の私でも致命傷は逃れられない。 だが、『まともに相手なんてしなくていい』。 こんなときこそ、聖剣の出番なんだから。 ポツリ… 「お前が奥義を使うなら、こっちも使わないとな。」 なんて名前を付けようか。 リディア 「お互いに、いるべき場所に帰るn そうだ 「序章(プロローグ)」 素早く、『無謀』を横薙ぎに振るう。 『普通』は、そんなことで解決できるはずは無い。 だが、… バリバリバリバリッ…! 魔法陣が、粉々になって地に墜ちる。 リディア 「は…?なんで…!こんな事が…ありえていいの!?」 「私は終末に導く者!こんな仕打ち…!!」 「この世界は、此処で終わらないといけないのよ!」 聖剣に認められた。真の聖剣の力を引き出せた。 『無謀』が無謀を可能にした瞬間だ。 「…もう話すことも無いですね…魔女。」 剣を魔女の首に当てる。 少しだけ、血が首筋を流れる。 リディア 「やめろ…!」 「こんなこと…許されないのよ…!!!」 魔女が、一歩、後づさる こんな奴に一度追い詰められたのかと、自分を恥ずかしく思う。 「私を殺すなら…私の子を、世界中にばら撒いてやる…!」 「貴方達が強く恐れる…天災となる魔女を!!」 妄言は無視に限る。 深く息を吸い込み、最後の覚悟を決めた。 「地獄に落ちろ。」 そう言って、魔女の首を掻っ切った。 自分が最も憎んだ者から、赤い花弁が舞い上がっている。 なんて美しいことだろう。 それは、今までの人生で、これからの一生で、最も儚く美しいと言える瞬間だった。 今度こそ、生き残りが、その場に立っている。 王国に戻って報告をするのか。 家に帰って、一休みするのか。 それは、帰ってから考えるだろう。 今は、なんの宛もなく、自分の足で、帰り路を踏み締めていたいから。 魔女との死闘を振り返り、ふと考える。 魔女が逃げなかったのも、魔女が自分に臆したのも、聖剣のお陰では無いかと。 役目を終えた聖剣を森に戻すことも、記憶の端に入れておこう。 天気は、晴れだ。清々しいくらいの、雲一つない快晴。 差し込む日差しを浴びながら、勇者は帰路に着いた。 〜ここで文献は終わっている〜