1節 若き日々と魔力の悲劇 ヴァルディスはかつて、平和な小国の一貴族の次男として生まれました。幼少期は家族とともに穏やかな日々を送り、兄弟や友人たちと幸せな生活を送っていました。しかし、彼が18歳のとき、国を揺るがす惨劇が起きます。 その国の王族が、禁じられた「古代魔術」を研究していたことで、制御不能な魔力の暴走が発生。暴走する魔力は国土全体を飲み込み、災害と化しました。ヴァルディスは奇跡的に生き延びましたが、家族や故郷を全て失い、国そのものが地図から消えるという悲劇を経験します。 2節 魔力への憎悪と旅 故郷を失ったヴァルディスは、魔力の危険性を訴えながら各地を放浪します。しかし、多くの人々は魔力を「人類を豊かにするもの」として受け入れており、彼の訴えは無視されました。むしろ、彼の主張を異端視する者も多く、彼は孤独の中で信念を磨いていきます。 そんな中、彼は旅先で幾つもの魔力が引き起こした惨劇を目撃します。魔法戦争で焼き尽くされた村、暴走する魔術師による虐殺、そして無力な人々の絶望。これらの光景は、彼の中の「魔力根絶」という思想を強固なものにしました。 3節 運命の出会いと思想の形成 ヴァルディスは旅の途中で、「古代魔術研究者」だったある女性と出会います。彼女はかつて魔力を利用して人々を救おうとしたが、結果的にその力が暴走し、無数の命を奪った過去を持っていました。彼女の話を聞いたヴァルディスは、魔力は「善意」に基づいても危険なものであると確信します。 彼女から学んだ古代の反魔力技術と知識を元に、ヴァルディスは「魔力を根絶するための科学と技術」を研究し始めます。彼はこの時、魔力そのものを完全に消し去るための方法を模索し始めました。 4節 聖断の楯の原型 ヴァルディスは少数の同志を集め、魔力根絶を目的とする「反魔力組織」の原型を作ります。初めは小規模な活動でしたが、魔法戦争の頻発や魔力暴走の増加により、彼らの活動は次第に注目を集めるようになります。ヴァルディスの演説や行動は多くの人々を惹きつけ、魔力被害に苦しむ地域では英雄視されるようになりました。 5節 聖断の楯の誕生 彼の活動はやがて各国の支持を受け、大規模な組織へと進化します。組織の名前「聖断の楯」は、「人類を魔力の脅威から守る盾」としての理念を象徴しています。彼はその頂点に立ち、強力なリーダーシップを発揮して組織を統率しました。 ヴァルディスは、自らの悲劇を繰り返させないため、魔力の否定を絶対的な使命としました。そして彼は、「魔力のない新世界」を目指すという壮大な目標を掲げ、組織を人類最大の希望として位置付けます。 6節 対立と未来への決意 しかし、聖断の楯の活動は全ての者に歓迎されるわけではありませんでした。魔力を利用して善行を行う魔法少女や、影の帝国ノクスのような魔力に依存する組織との対立は激化します。特にアルセリアのような「魔力を正義に使う存在」との理念の衝突は、ヴァルディスにとって最大の障壁となりました。 それでも、ヴァルディスは「魔力を排除することこそが人類を救う唯一の道」と信じ、その道を突き進んでいきます。