1920年代____ ある旧ソ連の生物学者は人間と精子でチンパンジーのメスを妊娠させるという実験を行った が、その実験は失敗に終わってしまったと言われている だが歴史はあるものを失念してしまっていた 妊娠というのは確率なのだ 生物間の異種交配故、その確率はガチャのLR(レジェンドレア)よりも低くなるかもしれない が、確率であるということは逆説 試行回数を稼げばいつかは実現することなのだ さてここまで語ったなら分かる人もいるだろう これを引き当てた人が存在すると__ 同年代アメリカ とある霊長類研究センターでこの実験は成功してしまった 妊娠が起こっただけでなく、妊娠が正期産となり、出産に至ったという 勿論、アメリカは道徳的、倫理的配慮を検討し始め、その乳児を安楽死させる こんな事態を招いておきながらこれをやった科学者は明かされてないらしい (ここから創作入るよー) 1920番は同年代実験で生まれたキメラ生物であった 名を公表しない学者か旧ソ連の生物学者かはたまたそれ以外の学者か 誰かは分からないが時同じくして1920年代に人とチンパンジーのキメラが生まれたのであった 人知れず実験体として歴史の闇に隠され監禁されていたのだ 人の知能とチンパンジーの強大な握力、身体能力を引き継いで生き始めた1920番は人の上位存在のような行動を研究者らに見せていた が、それでもキメラは逃げ出さなかった キメラには知能はあれど自我が薄かったのだ ここが自分の世界でここ以外の世界はないと誤った認識をし続けていた キメラは短命だ 内含してる動物遺伝子の中で一番短命なものが死んだ時、今の肉体を形成している奇跡のようなバランスが崩れ、急にバタンと倒れて綺麗なまま亡くなるかもしれないという可能性をいつ何時も持っている キメラの配合はバランスにより成る 少しでも違うのならキメラの様態も変わってくるためだ 人とチンパンジーのキメラは意外と長命だった その命は20年も30年も生き続ける まぁ平均寿命の最大が39歳であるチンパンジーと平均寿命が87歳である人が交わったのだ まだ両種は生きている故、想定できる事象だった 1960年頃だろうか 肉体に衰弱が見られた 多分猿側の寿命が尽き常態化していた異常を人の体で賄えなくなったのだろう キメラは栄養を求めた 普段より多くの キメラは人として生き始めたいのだと研究者らは悟りキメラの欲望のまま研究者らは栄養を投与し続けた 同年代、南ではギアナ高地にある研究者、調査員らが派遣される その目的は未確認生物の発見のためだ ギアナ高地は特異な地形や生態系があり、未知に包まれている “地球最後の秘境”とも呼ばれたその場所に訪れた調査隊は奥地にてある謎のピンク色の体色の生物の写真とある生物のまつ毛の化石を入手し持ち帰ったという 写真と化石を見比べると何故か異常に一致しているようにもみえた 化石になった生物はこの謎のピンク色の体色をした生物の原種だろうか? シーラカンスやムカシトカゲのような生きた化石と呼ばれる類いの生物なのだろうか? そう言えば探検隊は未知の生物の声を聞いたとも言っていた それが多分この生物の鳴き声なのだろう この生物は永遠の命を持つともまことしやかに囁かれていた 果たしてなんなのだろう この生物は____ 18年後、化石からDNAを摘出する技術が確立し遂にまつ毛の化石からDNAを摘出できそのDNAを調べることが出来るようになった おかしい そのDNAはあらゆる遺伝子構造を成していた それはあらゆる遺伝子を持った一種の生物の化石だったのだ まるですべての生物はこの生物から生まれたのだと思うほどに多重に多くの遺伝子構造がこのまつ毛だけでも沢山存在している あるマフィアはこのDNA結果を見てある提案を博士に持ちかけた これだけ沢山の遺伝子を持っているならこの生物は最強の生物だったんじゃないか この生物を復活できれば金になるんじゃないかと 博士は出来るかわからないと言いながらもそれを実行に移した 博士がこの研究を続けているのはただ生物を蘇らせたいためではなく、交通事故で亡くした娘を蘇らせたいからだ 永遠の生命力を持つとさえ言われるこの生物を再生し、命の秘密が解ければ娘も強い命を持てるかもしれないと考えた 故にこの生物を蘇らそうと試みたのだ 1ヶ月後、実験は大成しある人型で尻尾の生えたピンクの生物が誕生した おかしな生物だが生命力も知能もずば抜けている その遺伝子故だろうか 実験体1920番を管理していた研究者はその研究を耳にする この生物の生命力を利用すれば私も全盛期の姿を取り戻すことが出来るんじゃないかと 多重遺伝子などキメラと実質的に似ている 生命力を活用できないかと交渉をした 博士は条件を課して活用することを了承した 一気に注がれる生命力に実験体1920番は反応を示す 幹細胞が活性化し強大な再生力を得、チンパンジー側が再生 最早全盛期のように元気になっていた これを良しと見たあるマフィアはこちらでも最強生物を作らないか?と交渉を持ちかける 勿論、こちらも了承する 結果、人と生物で胚を作る研究が再始動し謎生物はその多様な遺伝子を買われたか適合作業が行われた 人と動物でヒットしたのは豚や羊に似た遺伝子だった 確かに豚や牛は同じく哺乳類で人に必要な細胞を持っていた 活性化した幹細胞を用いれば内臓の再生ができるだろう この人と豚や羊のキメラがあれば医療技術も向上するかもしれない この事実に研究者は躍起になり研究を早め試験的に両方の遺伝子を実験体1920番に入れることを決断した 見事それは適合し人とチンパンジーのキメラは更に豚と羊を手に入れ更に身体能力を向上させ更に強くなっていた 想定通り強化となった マフィアの目指した最強に近づいていた だが、その目は虚ろに変わっている その意志も死にかけていたのだ 最早奴隷としてしか扱えぬ 自立していた人とチンパンジーの時と変わって大量にキメラ化してしまったことで代償として人側の意思が死にかけていた そんなある日何処かから爆音が響く 復活した謎生物は強すぎた その賢さ、その強さ、その技に 誰しも手に負えなかった 実験体1920番がいた研究所や家々が一瞬でその謎生物にてぶっ壊される 実験体1920番は惨状に立ち尽くした 逃げるマフィアらや研究員がいると言うのに謎生物に同情したかのようにずっと見つめていた 早く逃げろという自身の研究者の声すら無視し 自分はその惨状に死なずに生き延びた 当たり前だ 同じく最強を目指す人工物なのだから にしろ……君と自分は違う世界を歩むわけだけど かくして自分は野生化した キメラというのは弱肉強食の世界において強かった 損傷を負わず一方的に肉を食える ブイブイ言わせるその姿は野生界の第二の王と呼べる存在だった まぁされども世界はキメラを秘蔵していたらしいが 自分は今、このAIバトラーの世界に流れ着く 何ができるのだろうか? そう思案している