ログイン

【夜を裂く勇猛滾る者】エルゴ・スペサーレ

どこまでが本当で、どこまでが架空なのか。 それすらわからない、数百年前の古の文献。 青眼の魔女や原初の魔女と語られる☓☓☓☓は、初代勇者に打倒された後も世の中にも多大な影響を残した。 『魔女の象徴』を…。 青い目を持つ者。白髪の者。周囲を凍てつかせるような目つきを持つ者。 魔女の特徴として書かれていた要素をもって生まれた者は、原初の魔女の生まれ変わりとして、消えない傷を抱えて生きねばならない。 そして人々は魔女の再来を防ぐため奮闘する。 目に見えない、牙を。透明で、鋭利な爪を。消し去っておくために…。 ──────────────────── 人物名: ・エルゴ(勇者♂) 無口なドラクエ系勇者 ・リディア(原初の魔女♀) 一応!クール設定のセリフ難読お姉さん オリジナルワード: ノヴァルス王国/王都ノヴァルス ・人間界で最も栄えている国 聖剣 ・適性の有るものに馴染み、魔を祓う剣。なんでか大量の魔物が定住する『魔の森』の中心に刺さっている。勇者によって効果や見た目が変化する。勇者が死んで使われなくなるとまた森の中心に戻って来る。(もうこいつ呪の装備だろ…) エルゴは聖剣の名に『無謀』と命名した。(他は不可越剣とかファフニールとか) ──────────────────── これは、魔女狩りの始まりを示す重要な文献『力持つ者の黄昏(ラグナロク)』の内容である──。 ーーーーーーーーーーーーーー 暗い暗い、森の中。 一人の足音が木霊する。 ザク、ザクと、黒く腐敗した木々の間を、足元に広がる枯れて散ったであろう木の葉を踏みしめて。 エルゴが歩を進める先に佇むのは『魔女』リディアだろう。 「人々の、魔物の、そしてこの世界を破滅に導くべく生まれた」と王の城にて宣言し、どこかに姿を消し去った異様な女。 消え去ったこと以外は特に普通の女と変わらないのだが…リディアが破滅を宣言した年から、徐々に作物の収穫量や、肉の量などが減っていっているのだ。 流石に不味いと王も思ったのか、占い師に勇者としての適性があるものを複数人呼び出させ、護衛隊を付け、魔の森の中心部に向かわせた。 そこで聖剣を抜くことができた者に魔女を討伐する使命を与える。とした。 私は運が良いのか悪いのか…一番初めに試されて、一番初めに引っこ抜いてしまった。 ただの鉄の剣のようだった聖剣はみるみるうちに形を変え、まさに『悪しきを祓う』というような装飾の施された神々しい見た目へと成った。 そして私は、聖剣を握ったその日から数年間、厳しい訓練をこなしてきた。 この努力を無駄にはしたくない。早く皆に数年前と同じ様な生活を送ってもらいたい。そういった思いが込み上げてきて、胸が高鳴る。指が強張る。 そうして歩き続け、森を抜けた先には… 明るい陽の光とは真逆の灰色に染まりきった花畑と、一輪の枯れた花を摘み上げ、まじまじと観察するリディアの姿があった。 雲が空を覆い始める。 明るかった地上が、花畑と同じように灰色に染まってゆく。 一歩、足を踏み出す。 その音に反応してか、リディアが私の方向に振り向く。 お互いの姿を認識し停止。周囲にも緊張が走る。 リディア 「自己紹介はなし。私も貴方も、敵の事は知っているでしょう?」 「首を縦に振る▼」。ここで横にふる道理もない。 目を閉じる。胸の行動をいつも通りに抑える。 熱くならず。いつでも落ち着いて対処できるように。 リディア 「えぇ。其れで良いの。」 「其れじゃあ、始めましょう。」  それじゃあ、始めよう 「破滅のプロローグを。」  救済のエピローグを▼ ──カッと目を見開く。 眼前には3方向からツタが伸びてくる。 こういう時は中央。 地面を強く蹴り、真っ直ぐ突き進む。 正面からのツタを薙ぎ払い、リディアとの距離を詰めに行く。 その途中で、リディアが杖を地面に叩きつけるのが見える。 _下!! とっさに体を横に飛ばし、足元から勢い良く生えてきた岩を躱す。 続け様に飛んでくる雷は、無謀で弾く。 心臓めがけて寄ってきた小さな水の玉は体を捻り、回避する。 まるで勢いを失うことなく、様々な魔法が私を取り囲む。まるで魔法が、リディアに遊戯を楽しませているように。 このままだとジリ貧…なにか、打開する方法を考えなければ…! そうは考えても、前に進もうとすると命が危ない。 だが留まっていても、何時かは死んでしまう…。 (やっぱり、私に勇者なんて向いていなかったのか…) 私の振るう剣が勢いを失う。 足に力が入らなくなり、地面に倒れる。 リディアの魔法が、私の体を痛ぶり始める。 (すみません、王様。すみません、お父様、お母様。そして、私に期待してくれた国の皆さん…。私は…もう………。) 「はっ…ハァッ…ハァッ…!」 リディア 「人間の子にしては、耐えた方よ。」 「最後に教えてあげる。勇敢と無謀を履き違えた愚か者の末路をね。」 もう………………いいんだ。 ………この苦しみから…。…解放されても……。 私は、…ここで…… ぃゃ…駄目、ダメッ!ダメだだめだだめだだめだだめだだめだだめだ! 諦めたら、駄目だ!!!! ─私は今まで、全力だったか? ──本心から、皆のためと、最善を尽くしたか? ───死なない為と、自分に対して包み隠さず行動したか? いいや!していない! 先ずは!私が死なないために! 次に!困っている皆のために! 最後に!!自分が遂行すべき、役割のために! リディア 「おとなしく眠りなさい。英雄モドキさん。」 「【ヘルファイア】」 炎が、柱となって、勇者の体を包み込む─。 希望の象徴は、最期に何を思ったのか─。 偶像が、崩れる音がする─── リディア 「結局滅ぶのは変わらないのに、人間って愚かね。」 リディア 「さぁ、次は何を見に行こうかしら。」 魔女が、歩を進める。 聖剣の所有者が歩くはずだった道を。 厄災が消え、緑が戻る筈だった道を───。 https://ai-battler.com/battle/4a23bf33-38ca-4a7d-9184-f735d9ac6517