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【学習する芽】芳賀 誠

201X.11.19 ここはどこか。わからない。 何をしているのか。わからない。 なぜ追われているのか。わからない。 記憶を辿れ。思い出せ。 そうだ。 犯罪組織にいたんだった。 酷かった。 俺の親友が「バイト」として勧めてきたんだが、俺にいきなり詐欺の受け子をやらせやがった。 辞めたかった。 だけど、生活環境も良くなかったし、良心を押し殺して、金を受け取っていた。 だけど、良心にも限界があるんだな。 俺はいつの間にかボスのところに行ってて、辞める、とはっきり言っていた。すぐに口を塞いだ。殺される。 もちろんボスは憤慨。傍にあった花瓶で俺をぶん殴ろうとした。 そこからだったんだ。 俺の能力が目覚めたのは。 俺はその攻撃を何故か避けることができた。なんか、目の前に迫るボールを少し避けるみたいな感じだった。 ボスはさらに怒って、もう一度花瓶を振り下ろしてきた。 だけど俺は、その花瓶が次にどこに来るかがわかった。 花瓶が振り下ろされた後、俺は隙だらけのボスを隠し持っていたナイフで刺した。そこから無我夢中で逃げた。後ろから、叫び声と、弱気な声と、怒号が飛んできた。 俺は今の今まで、その子分達に対して1対1の状況にしたあと、カウンターを決めることを繰り返していたようだ。その子分達は、隠れている俺の目の前まで迫ってきている。 俺は生き残れるのか。わからない。 俺に明日はあるのか。わからない。 俺は無事に過ごせるのか。わからない。 それでも、俺は……。 俺は、隠れ場所から飛び出した。