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魔探のⅨ 二代目 ネア・イルミス

小さな記憶の破片 「あら、あなたは?」 優しそうな女性が、小さな少女に声をかける。 少女は分かっていた。 自身はダンジョンから生まれた魔物の一人であって、女性は自分が従うべきダンジョンマスターだという事を。 「ぁ……その……。」 少女は、戸惑っているような雰囲気をだす。 それを見た女性は、少女の頭を優しく撫でた。 「大丈夫、怖がらなくて平気よ。 私は、貴方の味方だから。」 「ぁ……。」 「名前が無いの?」 女性の言葉を聞いた少女は、申し訳なさそうに顔を俯ける。 呼び出されたばかりの魔物である自分が、ダンジョンマスターから名前を貰おうだなんて、大変おこがましい行為だったからだ。 それなのに、女性は気にしないような素振りを取っている。 自分の行動に怒っていないのだろうか? そう不安に思っていた。 不安な気持ちを抱えながら、ずっと静かに待っている。 すると突然女性が、何か思いついたように手を上げる。 「あ、そうだ!」 あまりに急だったので、少女は肩をビクつかせていた。 それに気が付いた女性は、少女に『驚かせちゃってごめんね?』と言い、言葉を続ける。 「貴方の名前を考えていたんだけれど……【ネア・イルミス】って、どう?」 「ネア……イルミス……?」 「そう、ネア・イルミス。 名前の意味としては、『手の届く範囲でも良いから、優しい光で包む』なんだけど。」 少女は、少し考えこむような仕草をした後に、一際大きく頷いた。 「よし、じゃあ決まり! 今日から宜しくね! ネア・イルミスちゃん!」 「よ、よろしくお願いします。 あの、えっと……。」 「あ、ごめん! まだ私の名前を言っていなかったね。 私の名前は【源廻のⅠ エンシア・ラドゥメア】だよ。 気軽に、エンシアやラドゥメアって呼んでね!」 「うん、分かった。 よろしくお願いします、エンシア様。」 「様は付けなくっていいよ。 私は、過度な上下関係は嫌いだしね。」