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スーパーマッチョマン

俺は、自分の能力に嫌気がさしていた。 学校に行ってスポーツでいい成績を取るだろ?あるいは、誰かの怪我を防いで人気者になったり… すると、筋肉がドン!とデカくなる。みんな訝しんだり怖がったりしてさ。誰も近づかなかった。 就職で面接した時も合うスーツがなくて特注の高いの勝っても、母親が出かける直前に応援しただけではちきれる。 生きづらいったらありゃしなくてさ。 人生に行き詰まっててさ。公園のベンチに座った時、隣に変なホームレスみたいな風体のジジイが座ってきた。 で、「若者よ。なぜだ?なぜそのようなガタイを持ちながら絶望することがあるのか?」って聞かれて、辛いこと全部喋った。 言い終わった瞬間。ジジイが上着を脱いでこう言ったんだ。「かかってこい」と。 俺はだいぶ躊躇った。でも、とりあえず取っ組み合いになると、そのジジイの筋肉が明らかになった。俺ほどじゃないが凄まじい。 その後はお互いボコボコになって、近くの河川敷で二人で横になった。 「ワシはな、ヒーロー事務所に勤めとる。お主ならワシの後釜になれるわい。」 そうぽつりぽつりと言った。 「なんでだ、ジジイ。まだまだ現役だろ」 そう返すと、 「いんや。実は病気でワシはもう長くないんじゃ。だからどうか、お前の筋肉で…ワシのヒーローネーム、『スーパーマッチョマン』をついでほしい」 この言葉で俺は今やこの国一番のヒーローになった。 どっかのジジイの名前を借りながら、やっと、俺の人生を手に入れた。 今日も応援をもらって、悪いやつを倒し、賞賛される 絵に描いたような理想的な生活を掴むことができた。 いいかみんな。 神は確実にチャンスってやつを人生で一度はくれるんだ。 それを逃さないように努力して、たとえ見失っても掴むハングリーさは失うな。わかったか?