数十年前、彼は一つの使命を背負って生まれた。それは、人類を蝕む闇、怪物と呼ばれる存在を根絶すること。 それから彼は数多の戦場を駆け抜けた。彼の通った道には無数の怪物たちの残骸が残り、血の海ができた。ただ、彼も無傷ではいられない。積み重なる戦闘で装甲は破壊され、右腕すらも失った。 けれども彼はそんなことを物ともせず、ひたすらに怪物を殺戮し続ける。 そんな彼の揺るぎない信念は、過去の出来事に関係していた。 元々、彼には多くの仲間がいた。彼は他のロボットと比べても頭一つ抜けた戦力を有しており、仲間たちからも厚く信頼されていた。 そんな中、怪物たちは日に日に強くなり、過去とは比べならないほどの戦闘力を手に入れていた。そして、彼らは怪物たちの襲撃を受ける。 自分自身はずば抜けた戦闘力でパワーアップした怪物共を軽々と退けた。彼は安心し、仲間たちの方を向いた。しかし、そこには仲間たちの残骸しか残っていなかった。 その瞬間、彼は膝から崩れ落ちた。自分だけ生き残ってしまったと。 しかし、彼にはまだ守るべき存在がいる。 自身を生み出した人類、そして、世界のどこかで今も戦っているであろう仲間たち。彼はそのことを思い出し、散っていった仲間たちのためにも、守るべき存在のためにも再び立ち上がり、歩みを始めた。 そんな彼を見た人類は、彼をこう称した。【不屈の英雄】と。 彼は争いのない平和な世を作るまで、散っていった仲間たちのため、そして残された仲間たちのためにも死ねない。