「今回の実験は成功だな」 白衣の男は笑った その日生まれ落ちた“イノチ”に向けてーーー 20XX その日その時、人類間の禁忌が功を成しソレはこの世界に産声を上げた 「呼び名は何にしようか?産まれたからには実験体No.6、No.7で呼称するのはいけない気がするんだ」 一人の男はソレを見つめながらそう口にする 「でもこの子らは戦闘用ですよね?なら変に愛称で呼ぶのは感情の面で影響が」 「エコさん、我々はこう戦闘をする身でありながらもこう名前で呼び合える」 「エコさんは俺が死ぬのが怖くないの?」 「そりゃあ怖いですよ」 「だったら変わんないでしょ 愛着に何か問題はない」 「問題なのは在り方でしかない 愛着による軍の歪みが出ずちゃんと勝利への道を歩めれば問題はないよ」 「違ったなら責任は全部俺が負うからさ 矯正をやった後、命をもってそれを償おう」 男はそう口にした 我々は先入観に囚われていた コイツラは人かモノかでいったら人よりなのだから 上層部は変わらずNo.で呼んだが我々は違う 我々は人として扱いたかった 同じ戦闘に生きるものだったから 「マイ・オスチとミエ・リンサ 今はそう呼ぼう」 白衣が決めた名称はそれだった マイオスタチンからマイ・オスチ ミエリン鞘からミエ・リンサ 単純で未来のこと何も考えてないような名前っぽい 「変異した物質の名を付けるんですか?」 「戦闘用生命体に崇高な名なんてそれこそ人みたいだ」 白衣は冷酷に口にした 「俺は人っぽく扱ったほうがいいって意見したじゃないですか!!」 「責任者が全てにおいて偉い訳ない 意見や主張を取り込みながら最善の方法や道筋を決定していくことが本来の役割だ この意見を取り込み君はどう思った?そしてこれは最善の方法だと思うのか?」 「少なくても私はこの戦いが終わり次第この世界で生き延びていく戦士達の為に名は与えるべきですしチームワークもありますから欠かしたくないんです!」 「戦いもしないものが語るのはいつも理想論だ」 白衣は去った 白衣の権力に抗えなかったか新たな名が思いつけなかったか 分からないけれどその日から我々はマイ・オスチとミエ・リンサという呼称を用いていた 幼少の頃、オスチは聞いた 命名の由来を 言えるはずがなかったよ 君が組み換え体でその変異した物質名なんてどうにも我々は口にできなかった 「お前は戦闘用生命体に異様な慈悲を抱きすぎだ!アイツらは成熟と共に戦闘に生きることとなるのだぞ!その為に幼少の今から体を鍛えさせているのだろう!」 合っている 合っているのに何故か違った様に聞こえる 「その事実を本人にいつまでも秘匿しておくつもりか?それは反逆と見なすぞ!」 冷酷に強くーーー強く 言葉は発せられた 「あの子達が何かしましたか!!戦闘用なんて上が決めた人生の歩み方の一つでしかないでしょう!!」 本来決めるのは我々であるはずがない そうあって良いはずがない ………だって! ーーーーだって!!! 「あの子は“生きてる”んですよ!!!」 「人間とは馬鹿な生き物だ 崇高な理由があるのなら争いはしない」 「人は“エゴの塊”なのだよ 真に人は他を奪い生活を得ている」 『人間のように扱いたい』という慈悲はエゴだ 『兵器として利用したい』という恨みもエゴ 両者はどちらもエゴである ただエゴを追求することは他のエゴを潰すだけ 何かを求めるなら他の人間を潰すだけなのだ 「人を化け物に変えその上、人権も!名前も!奪って機械として使い潰すのは本当に正義のやることなんですか!!」 「正義も悪もない “事実がそれが正しい”ことを告げるんだ!」 「見苦しい こんな組織に所属しておきながら今更正義を説こうなど」 別の者が呟く 人を殺す組織に所属してその中で正義主張しても変わらぬ ただ潰されるだけ 正義も悪もない あるとしたら組織のエゴが通される事実だけだ 「これ以上の会話は無駄だろう クレイシノ・カナタ」 「……そうですね」 苦渋だった しかしコレ以上出れば彼は全てを失う だから言葉でしか抗えなかった 所詮こちらもエゴなのだから 「……せめてもの救いだよ リンサ、賢そうな君には読心術を教えよう」 「読心術は有用だよ 理解が早くなれば次に備えられる」 「まずはこの本を読み込んでみてよ 分かりにくいところは教えるし実践もさせる」 「オスチ、君はいつも身体が熱いね 辛そうだ 困らないの?」 「そうだね……火炎放射器って知ってるかな?」 「そう 熱は放射させた方が強いんだよ コレから慣れていこうね」 彼からすればそれは同じ人間に見えた 真実が遺伝子組み換えで作られた戦闘用生命体だとしても関係はない 結果として育てるべき存在なのだから 腐りきった組織から逃げてほしいと思った自分は間違いなのだろうか 分からない 俺は道徳を説けない ただ武力を教えることしか多分できなかっただろう 思春期 人で言う中学生頃 二人は自我を確立した 教えが功となったかそれが特性だったのか だけど俺は笑っていたような気がする 上層部は顔を顰めていたけれど 「とても熱い男になったよねオスチ もうルルなんて呼べないなぁ」 “かわいい子”“愛しい人”“大切な人” ルルはそんな意味だ もう可愛い子なんて呼べない 「リンサ、こんななかで君は未来に希望を持てたなんてとっても運がいいと思うよ」 知性に優れたミエ・リンサは気づいてしまった 昔ね、ルル、ナナっていう実験体がいたんですよ あ、嘘じゃねぇすよ 本当に まぁでもあくまでそれは元ネタ 戦闘用に遺伝子改変された設定は俺がつけた創作設定だしそもそも性別も何もかも変えてるからダイジョーブ 最初は姉妹で作ってたんだけどね、作ってた内にこれ男のほうが不気味じゃね?ってことに気づいてさ 世間一般的にルル、ナナって聞いたら女の子妄想するじゃん? でもコイツラ男なんだよね 姿形を女に寄せてるわけでもなくそのまま男であるままルル、ナナと呼び合っている 世間一般的にルル、ナナって聞いたら子供想像するよね コイツラ青年なんだよね この不気味さわかる? 異端児っぽいよね 教育をあんま受けれてなさそうなこの感じよ ルル称号 不屈の熱源 熱血の砕熱者 ナナ称号 覚醒の予見者 予視の盲幻師