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【氷原の巨神】ジグルド・ヨトン

所属 Niflheim 《RAGNAROK》 階級 FENRIR級 極北には数多くの伝承が残されている。 吹雪の中を歩く白い狼。 氷海の底で眠る竜。 そして、 「雪嵐の向こうを歩く巨人」 という伝説も存在した。 人々はそれを昔話だと思っていた。 だが。 その伝説は実在した。 ジグルド・ヨトン。 古代マンモス獣人。 極北でもさらに北。 生命すら存在を拒む永久凍土の奥地で生まれた。 彼らマンモス獣人は巨大だった。 強かった。 そして長寿だった。 だからこそ、 争いを好まなかった。 力を誇示する必要がなかったからだ。 ジグルドもまた、 静かな青年だった。 戦うことよりも、 群れを守ることを好んだ。 若い獣人達に生き方を教え、 吹雪の中で迷った者を導き、 傷付いた仲間を背負って帰る。 そんな男だった。 だが。 文明は北へ進み続けた。 資源を求めて。 領土を求めて。 利益を求めて。 そしてある日、 マンモス獣人達の故郷も標的となる。 最初は調査隊。 次は採掘隊。 そして軍隊。 彼らは言った。 「ここは国家の所有地になる。」 マンモス獣人達は理解できなかった。 土地は誰かのものではない。 先祖から受け継ぎ、 子孫へ繋ぐものだ。 だが国家は違った。 巨大採掘機械が投入される。 氷河が削られる。 森が切り倒される。 動物達は逃げた。 そして群れも居場所を失った。 ジグルドは交渉した。 戦いたくなかったからだ。 だが返ってきたのは銃声だった。 その瞬間。 全てが終わった。 マンモス獣人達は抵抗した。 だが相手は国家。 戦車。 砲撃。 航空戦力。 数の暴力。 仲間達は倒れた。 長老達は死んだ。 群れは壊滅した。 ジグルドだけが生き残った。 吹雪の中。 彼は故郷を見下ろしていた。 燃える雪原。 崩れ落ちる氷河。 失われた故郷。 そして気付く。 力があっても守れない。 優しさだけでは何も残らない。 その日から、 ジグルドは放浪者になる。 各地を歩いた。 戦場を見た。 都市を見た。 国家を見た。 そして知った。 自分達だけではなかった。 奪われる者は世界中にいる。 踏み潰される者は世界中にいる。 誰も守ってくれない。 誰も止めてくれない。 だから彼は歩き続けた。 守れなかった者達の代わりに。 ある時は戦場で避難民を逃がし。 ある時は怪物を討伐し。 ある時は侵略軍を単独で押し返した。 いつしか人々は彼を呼ぶ。 《氷原の巨神》 と。 そして数十年後。 吹雪の中で出会う。 一頭の巨大な狼に。 王冠のような角を持つ、 古代狼獣人の王。 ヘルガ・フェンリス である。 ヘルガは言った。 「お前は何を守ろうとしている。」 ジグルドは答える。 「もう何も守れなかった。」 しばらく沈黙が流れた。 そしてヘルガは言う。 「なら世界ごと変えろ。」 「守れなかった理由ごと壊せ。」 その言葉は、 ジグルドの心に深く刺さった。 故郷を奪ったもの。 群れを滅ぼしたもの。 弱者を踏み潰す世界そのもの。 もしそれを変えられるなら。 もし壊せるなら。 自分の力には意味がある。 そう思った。 だから彼はNiflheimへ加わる。 忠誠ではない。 恐怖でもない。 崇拝でもない。 ただ。 ヘルガだけが、 世界の理不尽そのものへ牙を剥いていた。 それが気に入った。 だから今も彼は進む。 RAGNAROKの最前線で。 誰よりも重く。 誰よりも力強く。 守れなかった者達の記憶を背負いながら。 止まらずに。 踏み潰される側の怒りを胸に。 進み続ける。 それが、 《氷原の巨神》 ジグルド・ヨトン 守ることを望んだ優しい巨人が、 世界を壊す側へ歩み出した物語である。