人々は皆、私たち双子の力を見てこう言った 「魔法界の革命だ!」「なんて力だ!」「魔女の再来か!?」 それはただの妄言だと思ってた。妄言であってほしかった。 その噂なんて、飽きるほど聞いてきた。 プラスの魔女なんて異名まで付けられた。 正直、心外だった。辞めてほしかった。 でも、冒険者のみんなの輪の中に入れた未来で、ちょっぴり嬉しかった。 トランクはあんまり乗り気じゃ無かったけど…。 私だって、そこまでいい気じゃなかったし… この心のなかに渦巻くどす黒いモヤモヤを抑えるのも、大変だった。 私は、このモヤモヤに覚えがあった。それは、憎しみ、復讐心。 人間に殺された魔女の、深い怒り。 そんな、私に関係なんてない、不明瞭なモノ。 意識を深い暗闇に落として、静寂を感じれば、自ずと見えてくる。 斬首の光景。 嫌。私は酷い目に遭いたくない。 おんなじ様な道筋を辿りたくない。 なんで、楽しい楽しい私の生を、アンタなんかの復讐に使ってやらないといけないの?…はぁ。 死人が答えてはくれないでしょうね。 私の生き様は私が決める。 あの子を守るの。どれだけ私が痛い目に遭おうと。 それだけは、許したくない。赦せない。 あの子は向かわせない。 私も向かうことはない。 生き血をすすって生き長らえる、血溜まりの花畑には。