古の時代の三大勢力の一つ、現在の世界を否定し、再構築する事を目的としていた魔女を中心とする組織『紡ぎ手』。 その創始者の一人であり、紡ぎ手が崩壊した後も生き延び、抵抗を続けた『偉大なる魔女リアトリス』の遺作となる人工生命体。 不老不死を求めていた晩年のリアトリスが、若き日の自分自身を再現して創造した複製。 不老不死に到達できなかった時の保険として、リアトリスが新たな肉体にする為に用意した名前通りの『予備』。 外見・知能・魔力等、人格以外のあらゆる面をほぼ完璧に再現した、偉大なる魔女の集大成とも言うべき個体。 『スペアシリーズ』は本来、世代を重ねるごとに改良を加え、より完成度の高い器を創造していく予定だった。 しかし結局完成したのは一体のみであり、実質的に『スペア』は唯一の完成体であるアルファを指す固有名となった。 『スペア・アルファ』はリアトリスが討たれた後も生き残り、創造主の遺志を叶える為に千年以上もの間暗躍を続け、『魔女アルファ』として世界各地にその名が語り伝えられている。 紡ぎ手がかつて目指した『超越者への到達』と『世界の再構築』 彼女自身が創造された理由である『死の克服』、そしてその先にある『亡き創造主の復活』 これら全てを統合し、その果てに辿り着く理想郷を彼女は『楽園』と名付けている。 創造主の望みは何よりも優先されるべきものであり、『楽園計画』の成就こそが彼女に与えられた存在意義そのものである。 その思想と生命観ゆえに、彼女にとって生命とは設計図である生体情報と完成された技術の双方が揃っていれば幾らでも造り直せるものに過ぎない。 彼女自身も創造主にその身を捧げることを前提として造られた容れ物に過ぎず、本質的に個の尊厳や命の重さといった概念を理解することができない。 そのため叡智の家で行った一連の凶行にも悪意は一切存在しない。 それどころか実験に先立ち被験体の生体情報の採取を必ず行っていた為、本人には子供たちを犠牲にしたという認識すらない。 また、多くの秘密を抱えている一方で、彼女が嘘を吐くことは滅多にない。 アドニスの理想を応援し、彼を友人と呼んでいた事も紛れもない本心であり、彼から全てを奪い、自らの手駒へと作り直した後も変わらぬ友情を抱き続けている。