ボリボリ………、誰かがスナック菓子を頬張る音が聞こえる。 テレビの音、アナウンサーがとある魔法少女の活躍を報道する。 「またもや街の皆んなを救ってくれたのは魔法少女ハナ!、今回も彼女には感謝の言葉を述べなければなりませんね」 そして、画面に映るは花びらを散らして怪人どもを薙ぎ払う魔法少女の姿。 華麗な空中戦、倒された怪人どもが爆散していく。 そんな様子を見ていた人物が一言___ 「くっ…だらない!」 少女がベッドの上に寝そべりながら呟く、同じく『魔法少女スイーツ』として活躍して"いた"、彼女の名前は田中ミッシェル(14歳)である。 スナック菓子を頬張る、もはや味わう事もなく咀嚼しては飲み込むの繰り返し、この行為に意味などない。 ふと彼女を心配する声が聞こえてくる。 「田中!、何を呑気にお菓子なんて食べている!、お前は魔法少女だ!、今すぐ怪人を倒しに行くべき!」 魔法少女の変身アイテム兼相棒のステッキ、その名も"素敵なステッキ8世"である。 しかし、彼女は不機嫌にこう返す。 「そのセリフ何回目?、テンプレすぎて耳が痛いっての…!」 そう言って菓子の袋を無造作に丸め込むとゴミ箱に投げ込んだ。 しかし、ゴミは箱の手前で床に落下する。 彼女は溜息を漏らすとベッドから身を起こしてゴミを箱に放り込んだ。 腰回りに付いた駄肉、それが彼女の自堕落さを見事に表していた。 「田中、また太った?」 「お黙り…!、年頃の少女には触れてはいけない事もあるの」 そう言って少女は己を弁護する。 「でも、ここの脂肪とかホントぶわっ!?」 少女の両手がステッキを折ろうと力が込められる。 ____ギリギリギリ 「次、なんか言ったら殺すから」 「さ…、さいですか」 その返事に少女はステッキを解放した、そして堕落するようにベッドに倒れ込む。 そして、こう呟いた。 「怪人とか……、それから魔法少女とか……、もうどうでもいいのよ……」 こんな生活を続けて早3年が過ぎたか……、彼女は魔法少女としての心が折れてしまったのだ。 これは____、そんな前の話である。 【執筆途中】