「ワンダーランドの森には不可解な虫が多く生息している。彼らの生態は実に奇妙ながらも、誰一人として調査する者はいない」 森の中を進むあなたへ、突然樹上の方から声がかけられた。中性的でフランクな声色を発した女は太い木の枝に腰掛けると、ジロリとあなたを興味げに観察する視線を向ける。 「やあやあ、あなたがワンダーランドの来訪者だね。ふむふむ、中々良さそうな覇気、これならワンダーランドの開放も夢じゃないだろう」 あなたを見る女はニマニマとした笑みを浮かべている。 不思議な雰囲気の女だ。 髪も服装も何もかも真っ白で、しかもその白さは雪のような純白さと言うよりも、意図的に色を抜いた風な────まるで漂白されたようである。 「まだ名乗りをしていなかったね。私の事はそうだね……“白服”と呼んでくれ、本当の名前では無いのだけど存外気に入ってね」 女──白服はニコリと笑って、ヒラヒラと手を親しげに振る。何とも胡散臭い雰囲気だが、少なくとも敵意は無さそうだ。 貴方はやや警戒しつつ、白服へワンダーランドの森に住む不可解な虫について尋ねた。 「なら、ひときわ有名な虫達のことを教えてあげようじゃないか!」白服はサッと枝から降り、切り株に立ち上がるや否や歌うようなリズムで話し始める。 「森の中の虫の名を、教えてあげましょ教えましょう! 「まずは足早ウマバエさ。ヒヒンと嘶きブーンと飛ぶぞ。大の好物おが屑で、嫌いな奴には足蹴りを、ギィギィ鳴らして、パカラと走る、逃げなきゃその首折られるぞ! 「お次は火トンボ、火のトンボ。ボウボウ燃やして、方方飛ぶぞ! 非の打ち所が無い相手にも火の打ち所を見つけてしまうぞ、気をつけろ! 「そして最後は蝶ツガイ、何と言っても超硬い。カチコチ翅であちこち飛ぶのさ! 自慢の翅は金属製、攻撃弾くぞ面倒くせぇ! 「以上が名高き虫達だ。迷いの森を歩くなら、覚えておくのさ常日頃。何故ならこの森奴らの住処、歩くアンタは侵入者!」 白服の高らかな声と共に貴方は遠くから迫りくる無数の羽音を耳にする。 「涙の海岸に比べてこの迷いの森に潜む連中は難敵揃い。お手並み拝見といこうか」 軽々と樹上へ跳んだ白服はニンマリとした笑みで、これから始まる戦いの特等席へと腰掛ける。 こちらの様子を確実に愉しんでいる白服の事は一先ず放置し、あなたは茂みから飛び出した虫たちへと相対する──── ※これより下は勝利時(或いは戦闘が面倒な場合)のみスクロールしてください。 静かな森の中に聞こえる戦闘の音。 地面を力強く駆けるウマバエの蹄の音。 戦闘機のサイレンもかくやの羽音で炎を撒き散らす火トンボ。 そして二匹への攻撃を的確に防ぐ蝶ツガイの金属の翅が鈍い音を響かせる。 森へ侵入したあなたへ襲いかかる虫の群れ。普通なら愚かな侵入者が味わう虫たちの饗宴も、あなたにとっては朝飯前のイベントに過ぎない。 「素晴らしい! この程度は造作もありませんか……いや、むしろ簡単に蹴散らして貰わねば困るというもの」 あなたの戦いぶりを白服は拍手をして称えている。こちらを見つめる彼女の儚げな白い瞳は、あなたの勝利を確信していた様にも見える。 「無事にこの森を抜けて赤の女王の下へ辿り着けるか、陰ながら見守っていますよ」 白服は軽くを会釈をすると、スッとその姿を消した。依然として彼女への胡散臭さと不気味さは拭いきれないが、一先ずあなたは森を抜けるべく足を急ぐ。 ・あなたは森の中で大きな屋敷を見つける。 [https://ai-battler.com/battle/96a7100b-e776-4f13-a43c-ee7b399ed87b]