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【荒野に棄てられしデカブツ】 タイラー

名前:タイラー(名字無し、ただのタイラー) 性別:男性 年齢:15 在住地:名も無き荒野の外れにある廃ガレージ 嗜好:赤、騒々しくデカい機械や乗り物、戦い、頭突き 嫌い:長袖 武器:大型チェーントレンチャーの残骸に重機のエンジンを直結した手製の大型チェーンソー 備考:興奮したりブチ切れると見境が無くなるものの、戦意を示さない者を傷付ける事はないようだ ~生まれ~ ある冷戦の最中、市街地や基地内における局地戦闘で主流だった強化外骨格や戦闘用ロボットといったもののように通常の歩兵を越える火力と耐久性を持ちながらも閉鎖環境でも活動可能、そして歩兵と同様の食糧のみで安価に維持可能である事を要件として開発された、有機的な生体ベースの人造重歩兵の失敗作。それがタイラーだった。 彼ら人造歩兵は本来、幼児や少年程の年齢で製造された肉体に仕込まれた身体の強制発達を催すゲノムを活性化させ、骨格や筋肉の強制増強による激しい苦痛を伴いながら若く長期運用可能な人造重歩兵として肉体が完成する。 だがタイラーのゲノムには異常があった。それらが引き起こしたプロセスの過剰化は彼に従来のプロセスを遥かに越える苦痛と共に全身の骨や内臓、体構造に不可逆的な重傷を負わせる事となる。 彼を作った連中による厄介な"修理"の数々と数ヶ月に渡る療養が終わった際にそこに転がっていたのは、 他の大柄な筈の成長体を1メートルは超える背丈と、金属製のベッドと床を同時にひしゃげさせる過剰に分厚く重厚な筋肉と皮膚で覆われた体。 全てが過剰な身体の活動で発生する異常代謝による熱から内臓を保護する為に背に埋め込まれた背部から伸びる二対のマフラー状の排熱孔。 変異に伴い発話機能が失われた声帯と動物的に退行した脳機能によって発せられる言葉にならない獣じみた声。 表情筋と頭蓋の過剰発達で引き裂かれた顔にそれと裏腹に大きく発達した顎と歯。 そして、殆どの部分を切除され失った顔の代わりとして、鋼鉄製の顎付きヘルメットを顔に溶接された巨大な化け物がそこに居た。 軍部はその異様な結果に何かを期待したようだが、タイラーの過剰な大きさが重歩兵用の兵装規格に合わない事、彼の非従順的な態度を見るとすぐに掌を返してタイラーは辺境の荒野に捨てられる事となる。 タイラーは常識外れに頑丈だった為に殺処分に何度も失敗し、困り果てた末にこうするしかなかった。軍は彼を野垂れ死にさせるしか無かったのだ。 しかし それすら失敗に終わったようで、未だにタイラーはそのスクラップと賊どもが蔓延る過酷な荒野でしぶとく生き延びている。元からそうやって生きてきたかのように、荒野で最も激しい争いに首を突っ込み続けながら。 彼のこの名もそこで過ごす内に手に入れたものだ。 言葉を話せず名乗る事さえ難しいのに、どうやって自身の名前を主張出来たのかは謎だが… 誰かが勝手にそう呼び、彼が荒野で思うがままに暴れまわる内にそれが彼の名として荒野の住民や賊どもの脳裏に焼き付いたのかもしれない。 けたたましいチェーンソーのエンジン音と空気が震えるような雄叫びの二重奏に響く時、それはこの名も無き荒野において最も争いが過熱した時だ。