別の装備 【精霊の剣】風の魔法を宿した突剣で自在に回避&連撃 【鉄筒ベッグス】巨砲から爆弾を放ち周囲を吹き飛ばす 森と洞窟のあいだの平原にて その日、空は重く曇っていた。 森の縁にはエルフの軍。 洞窟の口にはドワーフの軍。 互いに数百。 槍も、斧も、弓も、すべてが互いを向いていた。 長く保たれていた均衡は、ついに崩れた。 両軍の最前列に立つのは、それぞれの種族の誇り。 巨斧を担ぐドワーフの戦士、ドゥガン。 聖銀の弓を引くエルフの戦士、エレノア。 かつて同じ人物の下で剣を学んだ二人だった。 だが今は違う。 「……久しいな、エルフ」 ドゥガンが低く言う。 エレノアは弓をわずかに下げ、冷たい声で返した。 「そうですわね。ドワーフ」 「このような形で会うことになるとは」 「元より避けられぬことです」 強く唸るような風が吹いた。 その時だった。 両軍の中央へ、ひとりの老人が歩み出た。 鎧は古び、歩みは遅い。 それでも、その背はまっすぐだった。 人間の老兵ガレス。 かつてエルフとドワーフの争いを止めた英雄。 そして――二人の師。 「武器を下ろせ」 老兵の声は小さかった。 だが、戦場には確かに届いた。 「お前たちは何をしている」 「互いに血を流すために、剣を学んだのか」 沈黙が落ちる。 だが、その静寂は長く続かなかった。 後方のどこかで怒号が上がる。 矢が放たれた。 斧が振るわれた。 戦場が動き出す。 「やめろ!!」 ガレスが叫ぶ。 だが軍勢は止まらない。 波のように押し寄せる兵の中で、 最前列の二人が動いた。 ドゥガンが斧を振り上げる。 エレノアが弓を引く。 互いを討つために。 その瞬間だった。 老兵が一歩、前に出た。 斧が振り下ろされる。 矢が放たれる。 止めるには、もう遅かった。 ドゥガンの斧が老兵の胸を裂き、 エレノアの矢がその背を貫いた。 時間が止まる。 斧が落ちた。 弓が震えた。 ガレスの体が崩れ落ちる。 二人は駆け寄った。 「……師匠」 ドゥガンの声がかすれる。 エレノアの手が震える。 老兵は血を吐きながら、笑った。 「……相変わらず」 「いい腕だ、二人とも」 「何故……!」 エレノアが叫ぶ。 ガレスは、静かに首を振った。 「ドゥガン」 「エレノア」 二人の名を呼ぶ。 「お前たちは」 「それぞれの種族で、最も強く」 「そして……慕われている」 血が地面に広がる。 両軍はいつの間にか動きを止めていた。 戦場のすべてが、この場所を見ている。 ガレスは、かすかな声で言った。 「頼む」 「組み続けろ」 「お前たちが並び立つなら」 「それが……平和の象徴になる」 「……」 ドゥガンの拳が震える。 エレノアの弓が地面に落ちる。 ガレスは最後に、静かに言った。 「約束してくれ」 長い沈黙。 やがて、二つの声が重なった。 「……約束する」 老兵は、安らかな顔で目を閉じた。 そして、戦場には武器を上げる者は誰もいなかった。 森と洞窟のあいだの平原で、 一人の英雄が死に、 二人の戦士が誓いを立てた。 それが後に呼ばれることになる、 「ただ一つの約束」だった。 老兵「双戦のガレス」 豪快で面倒見がいい英傑。その剛弓は地を裂き、斧術は嵐を起こすといわれ、幾つかの戦争を止めたという。 種族の違いを笑い飛ばす大人物。 「武器が違うだけで、戦士は皆同じだ」 エルフとドワーフは長命であり、憎しみも長く残る。数十年ごとに小競り合いから戦争になり双方に被害が出る。 50年前は森と鉱山の間の平原の領有権がきっかけだった。その戦争が始まるところを止めたのがガレスだった。 ガレスは理解していた。 人間の寿命では、自身の死後、 平和を守りきれない。 そこで彼は他の戦場にするのと同じように、戦後、各集落を定期的に訪れた。 名目は技術交流や和睦の確認。 しかし本当の目的は、 次の世代の橋渡しを作ること。 その中で見つけたのがドゥガンとエレノアだった。 彼らは初めから 平和の後継者として弟子に取られたのだ。