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【白衣の天使】メディナ

自分は今日も治癒をする。 仕事場には色々な患者が来る。 軽症の腕の傷を負った患者から重傷の足を失った患者など怪我の種類や程度、状態も様々で、中には戦闘の中で洗脳を受けた患者や性被害にあった患者まで運ばれてくる。 患者の酷い傷には慣れたつもりだった。 ずっと前から人を助けたいと思っていた。 それでも未だに脳裏に焼き付いて離れない。 自分を見つめる空虚な瞳も原型を失った身体も… 辛いものは辛い。自分も一人の天使だから… 彼女がここに降り立ったのは今から約30年前。(人間換算で彼女が約21歳の時) 皆を助けたいという想いが強くとも初めはあまりの辛さと苦しさに嘔吐したり、涙が溢れたりする日も多かった。 辞めてしまおうかと一度思ったが、天界の仲間や親友の事を想うと辞められなかった。折れるわけにはいかなかった。 仕事に就いて10年経ち、ボブだった髪も長く伸びた辺りから彼女はこの仕事に少しずつ慣れてきた。 仕事に就いて20年経った頃、彼女の親友が裏切りを受け、美しい翼も何もかも奪われ地上に落ちた。だが彼女は今もこの出来事を知る事が出来ていない。 未だにこの仕事に心労や疲労を感じたり患者の容体に苦痛を感じたりする事は多いが…どんなに苦しくともどんなに辛くとも今もこの仕事は彼女の誇りである。