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【虫取少年の憧れ】アトミックブラスターオオカブト

   アトミックブラスターオオカブトは、コウチュウ目(鞘翅目)コガネムシ科カブトムシ亜科カブトムシ族オオカブト属 Dynastes に属する昆虫の一種……の、筈だ。  装甲、もとい甲殻の隙間からは青い光が漏れ出ているが特に害はなく、アトミックブラスターオオカブトの生命力が光となって見えているだけだ。調子のいい時は青色に、疲労している時は黄色に、ピンチの時は赤色に発光する。かつてラプラスの虫籠事変の際に一度だけ虹色に発光した例が確認されているが、それ以降は目撃例が報告されていない。  デスメキシコ地方のデスコロシアム島に生息しており、アトミックブラスターオオカブトを始めとした様々な危険生物の高額な取引価格に目が眩んだ密猟者達が毎年よく行方不明になっている。  アトミックブラスターオオカブトは気性が荒く、雄同士の縄張り争いは熾烈を極める。特に繁殖期になると、海は割れ、空は裂け、大地は大きく震えると言われるほどの白熱した激戦を繰り広げる。その為、アトミックブラスターオオカブトの捕獲、及び飼育は清らかな心を持った歴戦の虫取り少年(少年の心を持っていれば成人でも可)以外には不可能なのだ。  頭部と胸部に存在する自慢の角は、砲身の機能を兼ね備えたリーサルウェポン。その身に秘めた無限のエネルギーを使って繰り出す砲撃は、デスコロシアム島以外の生物には耐えられない程の威力を誇る。エネルギーは上翅に搭載されたスラスターにも活用され、凄まじい推進力を発揮する。その速度は、空を飛ぶ姿がよく流星と間違われるほどだ。  近年になってデスコロシアム島以外で活動する個体が確認されたが、驚くべきことに一般的な個体とは真逆の穏やかな気性で、他の生物と共生しているようだ。