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【崩天の魔王欲冠】アスモラウン

今でこそ魔王と勇者の円環は誰もが危機感を持ちつつもそれはそれとして当たり前のものになっているが、かつてはそうではなかった。遥か昔は人も魔族も分け隔てなく争い合い無益な戦争を繰り返していた。単なる人と魔族の争いに収まらず、人同士あるいは魔族同士の争いも止むことはなかった。 だが、その中心に「魔王」は現れた。とある一人のか弱き魔族だったそれはあらゆるものから蔑まされた恨みを糧に力と魔力を蓄え、そしてその力を解き放ち多くの存在を屈服させた。かつて蔑んできた相手だったということも忘れ周囲のものはその魔族を奉り、ここに初めて魔族の王が生まれることになった。 魔王は全てを支配し城を築き上げた。それでもその胸に秘めていたものはかつての怒りがほとんどであった。魔王に苦しめられた人々やその他の魔族は歴史上初の協力関係となり、何人もの強者を送り込んだが全て帰らぬ者となった。そして、魔王を終わらせたのはこれまた誰もがみすぼらしいと思っていた一人の青年であった…… 長き争いで魔王と「勇者」となった青年はひとつの考えに行き着いた。 「我々が死ねばまた世界は混沌に包まれる」 そう考えた魔王と勇者は同時に相手へ飛びかかり、そして偶然にもお互いの胸を貫いた。そして、それを好機と見た両者は共に世界へ呪いを残す。 「真の平和にたどり着かない限り、魔王は生まれ続け、それに抗う勇者も生まれ続け、無限の恨みの螺旋を産み出していくだろう」 と…… こうして魔王と勇者が滅んだあとも新たな魔王と勇者が生まれ続けているという噂がある。無論これを信じるものは少ないがかつての魔王と勇者の痕跡は忘れることを許さないかのように各地へ残されている。そして、古びた城の玉座には、今も不気味に笑う王冠がいるという噂も流れ続けていたという