吸血鬼に課された呪いは幾つもある。 その中でも大きなモノ、それは、人の何十倍も、何百倍も与えられている、その時間だ。 多くの半端な吸血鬼は、人の血肉を喰らい、無聊の中でただ嘆きながら生きるだけだ。 本当に強く、賢い吸血鬼になる為には、その時間と、自分たちが本来生きる場所では無い、社会との向き合い方を考えなくてはならない。 その課題は、血の王女とて例外ではなかった。吸血鬼の女王として鎮座し、君臨するというのは彼女にとっては、苦痛でしかなかった。 自身に与えられた無限にも思える時間を、書物と共に過ごす吸血鬼は、珍しくない。 ただ… …漫画を読んで過ごす吸血鬼は、彼女だけだった。そもそも、人との共存を心から望む者でも無ければ、漫画なんて読まないからだ。 でも、それが、人との絆を産んだ。それが、今の彼女を産んだ、 だから今日も、彼女は、漫画をぎゅっと抱き、友人と語り合う。 その時までは…どうか、眠っていて、見守っていてね…私。 「わた…我の…血の王女の朋に害をなそうとは…万死に値するぞ。」