稲荷町の神社のお狐様。 ひがな怒ったり笑ったりしながらのんびり暮らしてる。 このままこの生活が続けばいいな、なんて思いながら、現代の信仰の弱まりに危機感を抱いている。 元々は悪い妖怪だった、というような逸話もなく、稲荷村が開拓された時に『山から土地神として現れた』ので祀られた。 いわゆるお稲荷様ではない(そもそもお稲荷様は狐ではない)のだが、稲荷信仰に習合された影響だとか、当時仲良くしてくれた女の子だとか、なんか色々あって今の姿形になった。 本人は自身がどこから現れた何者なのかどころか、祀られた後、今の姿形になるまでどのような存在だったかすら覚えていない。 ……と、笑って答える。 幻術や神通力の本質は、狐神の力ではなく元々もつ虚ろさや不定形さの現れなのかもしれない。