登場作品:ヒーローボーイフェリアン 300年前に起こった地球と月の戦争で生き残った月側の人間"月永民"の末裔にして月の国"月永国"の大統領。年齢59歳。非常に冷徹な性格で、他者を蹂躙することを全く厭わないどころか快楽を感じている。 彼は幼き頃から地球軍の攻撃の跡が長く残る地で育った為反地球感情が強く、年を重ねてもその憎悪は健在どころかむしろ増していき、その執念は国の長にまでなって自国民に反地球感情を浸透させる程。 戦争によって地球文明は滅びたと信じ込んできた如月だが、彼が40歳の時にここ数十年で地球の文明が驚異的な速度で進歩している事を知った彼は今度こそ地球を完膚なきまでに叩きのめそうとかつて月永族が地球の民を滅ぼすために作り上げた超弩級殲滅兵器"バサルトムーン"を起動させて地球を破壊することを目論む。 バサルトムーンの起動には条件があり、それは地球人口が100万人を超えること。そのために彼はメッセンジャーとしてバサルトムーンが起動する鍵となるDNAを埋め込んだ自身の妻・三依と工作員を送り込み、その時点での地球文明の中心「デザートシティ」に潜入させて文明発展を助力した。そしてとうとうその作戦が功をせいして地球人口が100万人を突破。しかし、何故かバサルトムーンは頑なに起動の兆しを見せない。おおよそ15年ほどで達成できると踏んでいた如月は焦りを感じるが、送り込んだ工作員の一人から一報が入る。 「三依さんのお子さんが生まれました!」 嬉しそうに話す工作員とは裏腹に、如月はある冷酷な考えが浮かぶ。 「成る程、そういうことか…。ククッ、運命はこの私に味方をしているようだな…!」 一報その頃、地球では中心都市にまで発展したデザートシティを中心に目覚ましい進化を遂げていた。しかしそれは決して良い面だけではなかった。技術が発展した分、街が各地でいくつも出来上がり紛争や小競り合いが頻発していた。この地で潜入員として暮らしていた如月の妻三依は、愛する夫と15歳になったばかりの息子と三人で暮らしていた。当初は目的が果たされたら月へ戻るつもりだったが、今の夫と出会い打ち解けていく中で地球への想いが強まり、地球で子どもを産む事を決めた。元気な男の子で、名前は幸太郎。しかし、幸太郎が15歳になった日から体調不良を訴える事が増えた。三依は心配になり病院を駆け回るも異常は見られず。体調不良で元気がない幸太郎を三依はただ見守る事しかできなかった。 そんなある日、幸太郎が突然家を出て行方不明となった。心配になった三依は街中を駆け回るが見つからない。 「まさか、何か事件にでも巻き込まれたんじゃ!?」心臓を突き刺されるような不安に押し潰されそうになりながらも、三依は警察に連絡してただ自宅で夫と共に帰りを信じて待つことしか出来なかった。 すると、街の向こう側から急にフードを被った少年が謎の白い巨大な機体を数体連れて街で暴れ始めた。その姿に三依は居てもたってもいられなくなり、その少年の元に駆け寄った。そう、その少年こそが行方不明になった幸太郎本人だったのだ!しかし以前まで優しかった様子は感じさせず、ただ街で暴れ回る幸太郎。その姿は顔の一部が白く変色しており、手で顔を押さえて苦しんでいる。「がぁぁ!!」と叫び、実の母へ拳を振り上げる。三依は息子が目を覚ましてくれるならと考えそれでも抱き締めようとしたが、そこに一人の少年が現れ抑え込む。 「お母さん危ない、下がって!」 十字のブーメランを背負うその少年は三依にそう言うが、苦しむ息子を目の前にして自分だけ逃げるなんて三依には出来なかった。 「くそ、こうなったら…!」その少年は背中のブーメランを取り出して構える。 「やめて!お願い!!」三依がそう叫び少年の手を掴むが、少年は構わずブーメランを投擲。しかしその軌道は幸太郎を綺麗に避け、周りの白い機械兵たちを綺麗に打ち砕いた。 「これで…助けられた…へへっ」自身を桐山 達郎と名乗るその少年は、暴走が落ち着いた幸太郎と三依と共にその場を後にしたのだった。 その頃、月永国では如月が着々と計画を進めていた。「フフフッ、これでもうすぐ地球を滅亡させられる。それまで仮初の平和を精々謳歌するがいい、砂漠の愚民たちよ」 実は、計画にはある誤算が生じていた。三依の中に打ち込まれたDNAだかそれは三依の身体とは適応せず発現しなかった。しかし、そのDNAは息子である幸太郎に遺伝していたのだった! 日が進むにつれ次第に苦しみが増し、幸太郎の脳内に情報が流れ込んでくる。それは意識を手放し月の使徒の意思に従うこと。しかし、大好きな母と初めてできた友達の達郎を守る為、自らに課せられた目的に背くため、彼は街を壊して人を減らし、使徒の覚醒を抑えようと画策する。 月では如月がバサルトムーンが中々起動しないことに苛立ちを覚えていた。彼は工作員を通じて地球の情報を追っていたが、ある情報を耳にする。 「フェリアンと名乗る武装少年たちが計画の邪魔をしています!」 長年力を入れてきた計画を邪魔されて憤りの感情を見せるが、すぐに落ち着きを取り戻す。 「まあいい。どうせ計画は止めれん。奴等があいつを殺すにしてもしなくても、な」 地球では幸太郎と達郎が何度も激しくぶつかり合う。何故こんな事をするのかと問いながら幸太郎を助けようとする達郎。しかし自分の運命を受け入れた幸太郎は悔し涙を滲ませながら叫ぶ。「こうするしかないんだ!君とお母さんを守るためなんだよ!」 何度も何度も衝突する2人だが、次第に自分のために必死に戦い続ける達郎の姿に一筋の光を感じる。(彼なら、もしかしたら…) そして、決着が付く。遂に達郎のブーメランが幸太郎の身体を掠め、その炎が心を解きほぐしていった。 達郎は一人じゃなかった。かつて何もできなかった自分を仲間として迎え入れてくれたチーム"フェリアン"。彼ら彼女らがいてくれたから仲間を大切にする心を育て上げ、そして悪と戦う力を身につける事ができたのだ。彼はそれを、自らがしてもらってきたことを今、目の前の自分の無力に打ちのめされそうになっている少年にしているのだ。 しかし運命は残酷だ。幸太郎は達郎たちなら如月の野望を止められると信じ共に戦う事を選択したが、遂に彼の体内に眠る"鍵"がそれを許さぬと破滅の扉を開く。 「ははっ、遂にこの時が来た!地球よ、懺悔の時が来たぞ!」 如月が歓喜の声を上げながら眠れる巨大兵器の眠りを覚まし、心を兵器と一体化させる。バサルトムーンを起動した彼は、地球に向かって【侵略】を開始した。暁月の侵略者となった彼は100万のバサルトジュニアを引き連れて進軍するが、その道を8人の少年たちが立ち塞ぐ。達郎、幸太郎、そして6人の小さき戦士たちの最終章が始まる。 最終決戦が始まると共に、【星の鼓動】が鳴り響く。聴いたものの神経を揺さぶるその音は、無情にも少年たちの身体の自由を奪っていく。 「これで終わりだ!」そういって如月はバサルトムーンの腹にある巨大な口から星が滅ぶかと思う光を撃ち出す。絶望に呑まれかけた瞬間、達郎の【不滅の炎】が発動。心火を燃やしたその炎はフェリアンの心を照らし、再起を促す。 「何だと!?確かに星の鼓動を聴いたはず!!」童謡を隠せない。滅びの光を炎で跳ね除け、達郎の拳が暁月の侵略者に届く。 「ぐおおおぉぉあああぁぁぁっっッ!!!」叫び声を上げる如月に、フェリアンは連続で攻撃を叩き込む。しかし如月もこれだけではまだ倒れない。 「ええい、小賢しい蛆虫共が!皆この光で宇宙の塵にしてくれる!!!!」バサルトムーンの六本の手が輝き出したと思うと、その手先には深紅の光を纏った大剣が握られる。「この光で滅せよ!!!!!暁月の護聖剣!!!!!」 滅亡の光が全てを飲み込みかけたその時、幸太郎が身を挺してフェリアンを護る。「これは僕の因縁なんだ!だから、僕が後始末をしないとな…!」幸太郎は少し寂しそうに微笑むと自身の力を全開させ、紅い光を自身ごと巨大なエネルギーに変換。「達郎!うけとれぇぇぇぇっっっ !!!!」達郎は悲しみを堪えながらそのエネルギーを受け取ると、全身から太陽の如し熱が溢れ出す。ー友の想いを胸に宿し無限の闇を照らす業炎ー神々しく輝くその煌めく業火を身に纏った達郎はその波動だけで数十万のバサルトジュニア艦隊を一瞬で滅却。「馬鹿な…貴様ごときがそれ程までに巨大なエネルギーを支配したというのか!?」如月が驚嘆しながらも喰い止めようと【星の鼓動】を再び発動させるも【不滅の炎】で弾き返され逆にダメージを喰らう。紅い剣で切り捌こうとするが、太陽の如しエネルギーを得た達郎はそれを避けながら接近し、雄叫びを上げながらクロスブーメランでバサルトムーンの機体を焼き切り大きな亀裂を入れる。しかしバサルトムーンの【星の凶爪】で吹き飛ばされ【星の滅光】が光るが、「そんな攻撃、効いてたまるかああああぁぁぁぁぁ!!!!!」と叫びながら業火を纏ったパンチで弾き返す!そのまま接近し、ブーメランを炎剣にして連続で斬撃を叩き込む。ボロボロで雄叫びを上げるバサルトムーンが最後の抵抗を見せるが、達郎はそれを受け止めて必殺技バーニングランを発動。宇宙を焼き尽くす業火を纏いしブーメランがバサルトムーンの身を焼き焦がしながら直撃!「うぐおぁぁぁぁぁっっ!!貴様、貴様ぁぁぁぁぁぁっっっ!!許さん、許さんぞぉぉぉぉっっっ!!地獄の果てまで呪い尽くしてやるぅぅぅぅっっっっ!!!!」そう絶叫を上げながらバサルトムーンの機体は崩壊、爆炎と共にバラバラになっていき宇宙の彼方へと消えていった。そして遂に、300年に渡る因縁の決着が少年たちによって幕を閉じたのであった。