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【韋編悪党】彷徨う雪だるま/彷徨の魔物

私は一度、確かに一度溶けた筈だった。 子供達によって作られ、 沈みゆく太陽に憧れ、 親切な番犬と話しをして、 そして、地下室にいた真鍮に恋い焦がれた。 再び目覚めた私の前に立っていた狼は、 私の恋心を否定した。 それは単なる帰巣本能と、決めつけた。 …そうなのかもしれない。 今の私にあの時の様な恋を、 地下室の真鍮の貴人に抱くことは無かった。 今の私が抱くのは…これは恋なのか。 いや、違う。 今回だけは明確に否定できる。 これは…そう帰巣本能なのだろう。 私の核となった剣の力を、 剣が求める想いを感じる。 刀が鞘に戻るように。 この剣は相応しい使い手を求めている。 ああ、ならばこそ行かなくては。 私は求む、剣の使い手を。 私は覚えている、この感情を。 さあ、君は、 この剣に相応しいのだろうか。 試そうか。