遠い昔、碧い粒子を纏った門により異界に飛ばされたとある人間が行きついたのは竜が支配する浮遊島だった そこの竜たちはみな優しく、言葉の通じない人間を受け入れこの世界の言葉や作法、歴史などを教えていた しかし、そんな平和な時間がずっと続くわけではなく… 門によりもたらされた兵器を使った密猟者や竜の存在をよく思わない者たちにより侵略が始まった 竜たちはできる限り相手に傷を付けないよう防戦一方だった しびれを切らした者たちが門によりもたらされた禁忌の炎「ツァーリ」を起動し浮遊島を焼き尽くしてしまった かろうじて生き残った人間とその人間と親しかった純白の毛を持つ竜は地上に落ちた しかし人間は全身火傷の重症、竜も体中に鉄や破片が食い込み死にかけていた 竜は思い出す 古の時代、竜の心臓を人が[喰う]ことで竜として歩みだす物語を 竜は考える 自分と彼が死んで竜の血が途絶えるなら彼にもっと生きてもらおうと 竜は覚悟する 彼の武器を使い自身の胸を裂く 竜は激痛に悶える 血管の繋がった心臓を取り出す 竜は優しく彼を持ち上る 竜は心臓を無理やり食べさせ飲み込んだのを確認し息絶える 彼は…