とある錬金術師の可能性の一つ。 ―データ取りのための戦闘、そのための戦略、そのための形態変化。いったい何を考えている?本来の目的を忘れていないか?世界の再現をさせるのではなかったか? ―そうだ、いっそ全てを自動制御にしてしまえばいい。最初から完全な論理を設定しておけば、後からそれをなぞるだけでいい。 ―何を参考にしようか。やはり天体だ。完成された、綻びの無い、美しい計算式。なんて言ったって世界の再現にぴったりじゃないか。そうしよう。 ―それにいちいち機能を考えるなんて面倒だ。元からあるものを使えばいい。必要なのはハッキングして、コントロールを奪う。それだけでいい。 そうして星系が生まれた。流体金属は細かく分裂し、彼女の周囲で"衛星"として無機質な巡航を始めた。一切の隙のない、完璧な軌道。 余分な機能を絞り、無駄を削ぎ落としたことで処理速度は向上し、速度、強度、柔軟性は極限まで高まった。然るべき時には容量を割き、他者の"機能"を取り込むこともできる。 絶えず変化することをやめ、一つの答えに至ったことは堕落と言えるかもしれない。 ―時折、本物の星のように煌めくのは隠れた願望か。