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【帰路を失った魔女】カケラ

第一魔王との運命の日の二日前、第二魔王と戦い《最悪の施し》を受けながらも討伐。しかし第二魔王の《最悪の施し》の効果で高熱、吐き気、めまい、魔力減退症等の身体の異常や、不幸体質、等の魂にかけられた呪いが原因で倒れた。 仲間達に謝りながらもこの異常も呪いも一時的なものであるとわかっていたので、状態が良くなってから第一魔王を討伐する、その予定だった。 運命の日の一日前 魔王がもう一度世界を夜に堕とそうとしていることを勇者は第二魔王が死に際に放った事を考えた。 世界を夜に堕とすのは6日後 彼女の状態が良くなるのは5日後 勇者は悩んだ結果、明日魔王を討伐すると彼女以外に伝えた。 運命の日 朝6時、彼女が眠りから覚めた時勇者達がいなかった。水を汲みに行ったのかな?と考えていると、爆発音が山の上から聞こえた。方向は第一魔王が住み着く場所。 彼女は杖を掴み、未だ重く気持ち悪い身体に【浮遊魔法】【身体強化】を唱えすぐさま彼らの元へ向かった。 なんで私を置いて行ったの?、なんで準備が万全でない状態で戦いに行ったの?聞きたいことは山ほどあった。彼らの元に向かう途中考えていた。 いつもと違う身体では魔法等安定せず、浮遊はなくなり地へ落ちた。 それでも彼女は向かい続ける、どれだけ身体が痛くても、泥だらけになっても。 彼らの場所まであと少し、そんなところで眩い光を見た。それは直感だがまずいと感じた、彼が使う独自の魔法はどの魔法属性にも属さず、不安定で歪で特殊だから、あんなにも明るい光が出ているのはきっとまずい、魔法を全力で使用したらきっと彼は彼じゃなくなるそう感じたから、彼女は走った。ただ重く気持ち悪い身体なんかどうでもいい。仲間を友人を家族のような存在を失うのが怖かった。 彼女が彼らの元、魔王の元にたどり着いた時、彼女が見たものは、月の聖剣が刺さった魔王、真っ二つにされ死んだ守護者、死にかけの術師。 勇者の姿はなかった。 術師に聞いた、返ってきたのは「勇者は消えた」その言葉だけだった。そして「お前にこれを渡す」と紙を渡し術師も息絶えた。 彼女の心はもう折れた。 自分の居場所を失った。 帰路は無い。