強大な敵との戦い、終わりの見えない人探し、厳しい鍛錬、理不尽な要求、いわれの無い差別、そして、現実社会。 …原因はなんでもいい。 そこはひまわり畑。 疲れた人の前に不意に現れる、一面の太陽の如きひまわり畑さ。 あまりの幻想的な光景に目を疑うだろう。頬を抓った者もいたらしいな。 だが。不思議なことに、そこは現実らしい。 俺も当時は訳が分からなかったよ。 そこには周りのひまわりすら霞む程に元気な嬢ちゃんがいた。 あんなガキみてぇに遊んだのは久しぶりだったよ。 終いにゃ嬢ちゃんは俺の膝で寝てたが… 俺もそのまま寝ちまってたらしい。 起きた時には夕方、ひまわり畑も嬢ちゃんもいなくなってたさ。 だがしかし、体も心も、以前より良くなってたんだ。 あれがどこだったのか、あの嬢ちゃんが誰なのか、今じゃ皆目見当もつかないが… ま、あそこにたどり着くような状態には、二度とならねぇようにしねぇとな。ハッハッハ ──とある壮年の旅人の話