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天穹の和声、フィオナ

天穹の和声、ジェラルドは宮廷に仕える鳥使いであった。 鳥使いの笛は、鳥たちと心を通わせる力を持つ。 彼は鳥たちの力を借り、警備や手紙の配達などの仕事を請け負ったり、 時には小鳥たちとともに曲を演奏して諸侯を楽しませていた。 某年⸺宮廷は混沌に包まれた。 暴徒が宮廷内に雪崩れ込み、「貴族のもの」とみなされたものは見境なしに傷つけられた。 人も。書物も。楽器も、鳥も、建物も。 血と炎の匂いが、宮廷を覆い尽くす。 王政がまさに転覆されようとしていたころ、ジェラルドはひどく負傷し、力なく瓦礫にもたれかかっていた。 押し寄せる市民の間を縫って、一人の少女が彼の元へ駆け込む。 「おじいさま!おじいさま……!」 「フィオナ。この力を⸺人と、鳥を結ぶ力を⸺絶やしてはならぬ。」 鳥使いはそう言い、生涯をかけて大切にしてきた笛を少女に手渡す。 それが、彼の最期のメッセージだった。