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混沌の化身 ラ・バグ

かつては人々に愛されていた彼女のデータは、たった一つの小さなバグによってすべて歪んだ。 蝕まれ、やがて呑み込まれ、彼女の行動から、彼女の意思は失われてしまった。 それからの彼女は変わってしまった。 誰かの為にと差しのべていた手は今や血にまみれ、彼女の愛らしい表情はノイズによってもう二度と見ることは叶わない。 愛する人々も、楽しかった思い出も、自らの心も、彼女の居た時空さえも、意思なき彼女の手で滅び、消えた。 彼女の訪れた時空も彼女によって滅んで消えた。 それでも尚、彼女は時空を超えて旅をする。 果たして、その意味は。 自らの意思に反して滅びゆく世界に、彼女は何を想うのだろうか。 旅の果てにたどり着いたこの時空で、彼女は何を果たすのであろうか。