【囚われの勇者:前編】 勇者であるアルフレートは魔王との戦いに重傷を負いながらも勝利した。魔王は降参し、滅ぼした国の被害総額の半分を差し出した。また、いくつかの従属国を解放し、西の共和国と停戦した。勇者は痛みに耐え、王国へ戻った。しかし、そこに待ち受けていたのは称賛などではなく大勢の武装した騎士。その奥から将軍の一人、ナスコフが現れた。ナスコフは言う。「帰ってきたか、勇者よ。だが残念だったな。お前はこの国では反逆者扱いだ。元々、道中で死ぬと思っていたのだがな…」勇者は将軍に質問する。「どういうことだ?俺は勇者として魔王を倒した。それだけだ。反逆者と呼ぶ必要などない。ただ少しの金を出すだけでいいだろう。」ナスコフは質問を無視し、騎士に攻撃命令を出した。「奴の戯言に騙されるな!やれ!」勇者は抵抗を試みるが、魔王との戦いで負った傷とその痛みによりうまく動けない。「く…うまく動けん…卑怯な…」そのまま勇者は捕らえられた。 【囚われの勇者:後編】 次に目を覚ましたのは地下牢。勇者は身に覚えのない罪を着せられ、囚人となった。隣の房の囚人は勇者が捕らえられた事に気づくと、事情を説明した。「あんたも捕まっちまったか…実はな、俺達はあんたを捕まえるのに反対したからここに居るんだ。実は王はあんたが死ぬと考えて魔王討伐に送り出したんだが、それでも生きて帰ってきた時に備え、お前がこの国を裏切って魔王軍に寝返ったという情報を流したんだ。当然信じる奴なんてわずかだった。だが、王と将軍、更に騎士の大半が問答無用でお前を反逆者扱いしたんだ。大体の奴らはビビって黙っちまってよ。一人の王の息がかかってねえ騎士がリーダーとなって、一部の兵士や民間人を集めて反乱を起こしたんだが、リーダーは数の暴力で、他の奴らは質の差で殺されてな、ここに居るのはお前に味方した結果、逮捕された奴らばかりだ。あと、あの衛兵は実は変装した商人でな。脱獄してから払うと言えば商品が買える。まあ、俺達のために新聞とかを持ってきたりするだけなら金はいらないと言ってるし、俺達は生活保護だと思って楽しもうや。」 【脱獄の決意】 3ヶ月後の事だった。壁の穴から新聞が差し込まれた。その新聞の見出しには、こう書いてあった。「裏切りの勇者、死刑確定」勇者は不安に思いながら、新聞を鉄格子の隙間から隣の囚人に渡した。新聞を回し読みし、この情報はすぐに囚人たちに広まった。すると商人が詳細な処刑の日時を伝えるとともに、大規模な脱獄の提案をした。代金を脱獄後に払うという条件で、魔法金属の剣を囚人達は手に入れた。それからしばらく、囚人達は全員で鍛錬を行い、死刑執行の三日前、ついに脱獄を始める。商人から小型の爆弾を受け取り、壁を爆破して脱走した。爆発音に気付いて地下に駆けつけてきた3人の兵士を一瞬で斬り伏せると、兵士が持っていた鍵を使って勇者の味方の居る房を回って解放し、皆で脱獄を目指して階段に走る。だが、この計画は王国に筒抜けであった。なんと、3ヶ月前から囚人の中にスパイが居たのだ。突如、勇者は腹を貫かれた。犯人はスパイである。次の瞬間、スパイが数の暴力で殴り殺される。だが、重傷を負った勇者は戦いには参加できそうにない。仲間たちに代わりに脱獄するように頼み、勇者は牢屋に戻った。 【謎の大男】 囚人達が階段を駆け登る。しかし、目の前には騎士が現れた。囚人達は騎士に襲いかかるが、次の瞬間、全員が氷漬けにされ、まもなく凍死した。それほどまでにこの国の騎士は強い。500人で4000人の反乱をほぼ損害なしで鎮圧できたのも当然である。勇者は戦闘音が一瞬で終わった事から不安であったが、まもなく不安は絶望に変わる。スパイと倒した兵士の死体を向かい合わせ、血文字でスパイを中心に暴動を起こし、スパイが勇者を殺そうとしてそれを止めた兵士3人と相討ちとなったかのように記載したにも関わらず、降りてきた騎士は一瞬で見破り、勇者に剣を向ける。次の瞬間、地下牢奥の分厚い金属の扉が飛んできた。騎士はボコボコになった扉を両断すると、扉の奥から現れた大男を氷魔法で攻撃する。しかし、大男は目の前に現れた氷を粉砕し、騎士を鎧ごと叩き潰した。大男は勇者を治療すると、ここで待っているようにと言って2日分の食事を置いて上の階へと走った。 【無駄な抵抗の果て:前編】 その直後、上の階から凄まじい音がする。肉が潰れ、人の体が砕かれ、死体を粉々に粉砕するかのようであった。爆発音や氷が砕ける音も聞こえてくる。上層階が支えを失って落ちてくるかのような音さえ聞こえた。女性の悲鳴、ガラスが割れる音、血が流れる音。戦闘音は丸2日続いた。勇者はあの大男の置いた食料と戦闘の続いていた時間が一致していた事から、騎士を全滅させて脱出できるようになったのかと思った。しかし、その淡い期待は一瞬にして打ち砕かれた。目の前を致命傷を負った大男を引きずった王と3人の将軍が通ったのだ。それから2時間後、王と将軍たちだけがもう一度目の前を通った。だが、次の瞬間上の階で大騒ぎが起こる。騎士の一人が首を絞められ、別の騎士が炎に巻かれ、悲鳴を上げる事しかできなくなっている。まもなく将軍が叫んだ。「大変です!魔王が…魔王が現れました!」何故、ここに魔王が現れたのだろうか。そんな事を考えている場合ではない。魔王が魔法を使うと、街は火の海となった。勇者が戦った時とはまるで別人である。戦闘により、天井に大きな穴が空き、そこから重傷を負った騎士が落ちてくる。 【無駄な抵抗の果て:後編】 勇者は剣を構えたが、手負いとはいえこの国の騎士が相手だ。勝つ事は難しいだろう。しかし、騎士が落ちてきた穴からは溶けた石が流れ込み、騎士は熱で焼け死んだ。溶けた石は勇者に届く前に冷めて固まった。上の階では戦闘が続く。次の瞬間、先程の穴から魔王が落ちてきた。魔王は壁を壊し、なんと勇者の逃げる道を作った。しかし、次の瞬間王が降りてきた。王は光線を放ち、魔王を遥か彼方まで吹き飛ばすと、剣で勇者を貫いた。勇者は心臓を貫かれた。王は死を確認もせず、上の階に飛んでいく。三十分後、魔王は王の強力な光線を受けて跡形もなく消え去った。 【復讐の勇者】アルフレート・ウィル・ディスハイマーに続く https://ai-battler.com/battle/1275230b-8fbb-48f2-b47d-e5052db1ab00 #AIバトラー