70年前に勇者一行が忘れていった伝説の杖を拾ったある村の少年、カン。彼がラオートだ。 ラオートというのはその村特有の称号のようなもので、村一番勇敢な者に贈られるものである。 前々からカンの魔法の腕は優秀と言われており、先代ラオートの父から教わった魔法は日々の鍛錬により彼独自のイメージを持った。 それだけでも次期ラオートはカンだと噂されていたのに、ある日とある法杖を拾ってきたことによりその地位は確実なものとなった。彼からしたらなんてことない棒であったが、村の人達からすれば伝説の法器である。翌日には父からラオートの座を譲り受け、村から何もしていないのに英雄と崇められるようになってしまった。 カン自身嬉しさもある反面今までのように村の人とのお喋りができなくなってしまったので悲しいと思っている。しかし1度手に入れた力を手放したくはなく、手始めに村の周りに出没する害獣狩りを始めたのであった…