ログイン

【晴嵐の闘士】清澄光希

プロフィールは工事中! 「つまり、空隙渡りを強化したいと」 「元々アンタのワープ技の劣化コピーなんでね。餅は餅屋ってことで、色々やり口のヒントに出来ればって思ったんですけど」 胡散臭い白衣の男……佐々間伊織はそんな私の言葉を聞くや、鼻で笑いつつ返してくる。 「あんな超技術の持ち主に教えを請われるとは、なんと畏れ多い。魔力量が足りないからってとんでもない無理をしてるのが今の状況なのは理解してるかい?」 私からすればあんな自由なワープが出来る方が異常だ。空間を好き勝手歪める変態が人様の苦肉の策に、なんて言い草だ。 ……と、言いたいところを抑えて話を続ける。 「だからこそ聞いてるんですよ。飛べるタイミングが限られてるから反撃されやすくて。『いつ飛べるか』がわかれば、後は『どこに飛ぶか』だけでしょ? 空隙渡りを頼みにするとそれだけで戦局が受け手になりがちなんです。折角一気に攻め立てられるだけの力なのに!」 そう言ってみると佐々間は一瞬面食らったような顔をするが、すぐに苦笑いを浮かべつつ向き直って来る。 「そう簡単に僕の十八番を奪われてたまるかよ。君は「風と雷」、僕は「亜空間」、それぞれに能力の適性があるのに、君だけが例外なんてことは無い。まさか己を知らぬとは言うまいな?」 「柄にもなく真っ当に諭さないでください」 「柄にもなく適当言うからねぇ…」 言いながら、白衣の男から大きな溜め息が漏れる。付き合っていられないといった様相を露骨に見せるので、思わず歯噛みする。 「……ぐぎぎ」 「そんな音が現実に出る奴初めて見た。漫画かな?」 「うるさい」 「中二病コピペにそんな感じの漫画の擬音を声に出す奴あったよね」 「うるさい! 自然に出たんだよ! つーかなんだその…コピペ?って」 「君は本当に弄り甲斐があるねぇ。打てば鳴る」 「いずれそのバチ折ってやらぁ!」 「そういうとこだねぇ」 ……ムカつく。 人の歯軋り一つ、よくもこうあげつらえるものだ。というか、弄り甲斐ってなんだよ。人のこと笑いたいだけなら無視すれば良かったか。 目の前の男はこちらの反応が面白かったのか、ニヤニヤ笑う。今すぐ蹴り飛ばしたい気持ちを我慢しつつ、どう言い返してやろうかと思考を巡らせ……るのを止める。このままはぐらかされる訳にはいかないし、アドバイスくらい引き出さなければ。 「んなことよりどうにか出来ないもんですか? 能力の適性がどうだろうと結局やり方だって同じじゃないですか」 「やり方さえ分かれば制約なく出来る、とは言い難いね。僕が君の雷を真似たところで小さな火花しか出ないのと同じさ。そもそも空間跳躍の原理は空隙渡りを教えた時に全て話した。今までの戦闘において君は既に空隙渡りの範疇で十分に原理通りに技術を実践している。アレが出来る時点で君は優秀と言って良い」 ほう、優秀とな。コイツのことだから行間じゃ色々一筋縄ではないんだろうが、褒め言葉が出るとは。 「お褒めに預かり恐悦至極」 「この件に関しちゃ褒めるしかなくてね。全く別の分野に適性があるってのはかなり貴重なんだ」 どうやら私は本当に手放しに褒められてるみたいだ。まあ空隙渡りに関しちゃ私だって息をするように出来るもんじゃないし、適性って意味では褒められたもんじゃないと思うが……ま、それでも佐々間に特筆して語られるってのはこの話に信憑性が出てくる。 いや、しかし。 「でも適性があるってんならそれこそ教えて貰う価値はあるんじゃ……」 「お、それなら」 思わず期待の目を向けると、目の前の男は珍しく嫌味のない笑顔で首肯した。 「ああ、少し付き合ってやるよ」 コイツ、こういう顔出来るんだ。 それからしばらくして。 佐々間はかなり協力的だ。 「つまり、改善の要点は魔力量の制約改善及び、跳躍地点座標と現在地座標の魔力パス生成の効率化にある」 「つまり魔力が足んないからって他人の魔力を借りてきたのをやめるのと、飛びたい場所と今いる場所との間をもっと効率よく繋げと」 「いや、別に魔力の略取をやめる必要はない。あれは君、とんでもない強みだぞ。空隙渡りの時にしか使わないのが勿体ないくらいだ」