三色 玉緒は、楽しくない自分が嫌いだった。 厳密には人と会話を楽しむのが苦手で、その事を思うと毎日が憂鬱だった。 そんな子供の時、一人でキレイなシャボン玉を作って眺めて遊んでいると、心と身体が癒されていることに気付いた。 「シャボン玉を作ると、何故か気持ちが晴れる」 そんなことから夢中でシャボン玉を作っていた時に、公園で泣いている男の子がいた。 ふと、心と身体が癒される特殊なシャボン玉を、泣いてる子にぶつけると、泣き止んで気持ちが上向きになったのか、元気良く帰っていった。 「会話が上手く出来なくても、良いことをしてあげられるんだ」 そんな感覚を掴んだ瞬間だった。 その日から、会話以外に自分が出来ることや、楽しませられることを模索し続けた。 ブレイクダンスやオカリナや簡単なマジック等、少しずつ身に付けていった。 そうして人を楽しませていくうちに、どういう言葉をかければ喜んでくれるかというのも、経験から少しづつ分かるようになった。 「人を楽しませられる自分が好きだから、人を楽しませる生き方をしたい」 夢としてあるものの、中々社会で叶える場所は見当たらない。 技術を磨いたり、色んな場所の色んな人と会う中で、将来に繋げたいと旅に出るが中々形にならず、年齢を積み重ねてしまった。 どうしようか……と悩み中ではあるが それでも、自分の「楽しませる生き方」を貫こうと パフォーマンスで路銀を稼ぎつつ 手品の勉強をしている