焼け野原、私は目を覚ます。 目を見開く、肺が痙攣したかのように息が吸えない。 私は生き残った、私だけが生きて帰れた、私しか生還はできなかった。 涙が伝う、声が飛び散る、拳に滲む血は赤い。 仲間の名を叫んだ、しかし返事はない。 後輩の名を叫んだ、しかし声は聞こえない。 親友の名を叫んだ、しかし沈黙だけが返ってくる。 自分一人が生還できた事に何の意味がある? 全てを失った私に何が残された? 何が?、ナニが?、なにが?、なかはり、@#/&_? "わたしは、何を守れた___?" 腰に差したナイフを取り出す、喉元に当ててみた。 ___カタカタカタ…! 手元が震えていた、狙いが上手く定まらない。 呼吸は段々と荒くなっていく……。 ___ガシャン! 堪らずナイフを投げ捨てた。 「ハッ…、ハアッ、ハッ……!」 地面を見つめる、怖かった、死ぬ事が恐ろしくて身動きが取れなかった。 「………クソッ!!」 ___ダン! 地面を殴る、瓦礫を殴ってしまったのかメキリ……と嫌な音が聞こえる、思わず痛みに手を押さえた。 「うっ…………ッ!?」 痛みに悶絶する、これは生きているという証だ、それこそ私だけが取り残されたという証拠なのだ。 不意に視界に映ったのは門である、それは立派な装飾の施された門であった。 「くっ……!」 警戒レベルは一気に跳ね上がり最高潮となる、先程まで無かった物体の出現、恐れずして何とするものか。 「………ゴクッ」 固唾を飲んだ、しかし門はそこにあるだけである。 時間だけが過ぎる___。 時間だけが過ぎた___。 時間のみが過ぎ去っていく___。 「チッ…!、ええいままよ!」 時間を無駄にしてしまった、ズカズカと門の前へと進み出ては腹立たしさに取っ手を乱暴に掴んだ。 扉を押す、ギィ……と年季の入った音を立てて門は開かれた。ただ一人残された、唯一の生還者を飲み込まんとするように開かれた。 【執筆途中】