オカルト雑誌記者 トオル(以下トオル)「それでは只今から、インタビューの方始めさせていただきますね。ムシエンプレスさん、今日はよろしくお願いします」 昆虫女帝(以下女帝)「ふふ、よろしくお願いします。」 トオル「えっと、ムシエンプレスさんは、ムシの力を使って戦ってるっていう…」 女帝「ええ、クワガタのように挟んだり、カマキリのように切り裂いて戦うのよ。でも一番好きなのは、蜂のごとき毒突きかしら。」 トオル「毒、ですか?」 女帝「知ってる?蜂毒はいろんな化学物質がブレンドされてるから、「毒のカクテル」と呼ばれてるの。じんましんや胃痛、呼吸困難と様々な症状が現れる可能性があるのよ。」 トオル「うう、できることなら戦いたくないです。」 トオル「あなたはなぜ、バトルに参加するようになったのですか?」 女帝「昔は何の能力もないけど、ムシが好きな女の子だったの。カブトムシやクワガタを捕まえるのは地元では私が一番だった。そんな日々を過ごしてたときに、ふと疑問に思ったの。「最強のムシは何?」とね。」 トオル「最強…はやっぱりカブトムシじゃないですか?」 女帝「あたしもそう思ってたけど…強さにも色々あるから、一筋罠じゃいかないって。体の頑丈さならカブトムシ、怪力ならアリといろいろ考えたわ。たくさんムシを知りたくて、いろんな博物館を見たり海外まで行って探してみたの。ムシに魅了されて、いつしか自分もムシのように強くなりたいと考えた。がむしゃらに鍛えてたらいつのまにか羽が生えて、毒突きできるようになって…そんな自分を活かすために戦う道を選んだのよ。」 トオル「なるほど、ムシを愛した結果、ムシに愛されたのかもしれませんね」 トオル「ムシエンプレスさん、綺麗なドレスですね。アゲハモチーフですか?」 女帝「ふふ、ありがとう。知り合いの仕立て屋を目指す高校生に作ってもらったの。ムシの美しさと強さを表現できるようなドレスを作って欲しいって。完成したのを見た時はビックリした。ここまで派手になるとは思わなかった。でも、アゲハは私も大好きだから、着たときとても幸せな気分になったの。それからはずーっと勝負の時はこのドレスを着ているわ。」 トオル「僕もその人に一度服を作ってもらいたいですねぇ」 トオル「あの、読者のプレゼントにしたいので、サインお願いできますか?」 女帝「もちろん。女帝のサインは特別だから、ぜひ額に入れて飾ってほしいわ。」 トオル「ありがとうございます。時間も良いところになりましたので、今回はこれで終了させていただきます。ムシエンプレスさん、今日はありがとうございました」 女帝「ありがとう。素敵な時間だったわ。」 以上、伊乃木出版 月刊タタリー55号からの引用