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《謹慎聖騎士》ユッカ

オレは女神教団に属する聖騎士の端くれだ。 といっても、今は謹慎中だがな。 本来、女神教において魔物は悪とされる。 聖騎士はこれを討伐するのが使命であり法だ。 しかしオレは、ちゃちな同情心から 怯える小さなスライムを見逃しちまったんだ。 ……逃がした魔物が人を襲う可能性に気付いたのは、 上官から説教された後だった。 考えが足りていなかったことは事実だ。 だが同時に、あの怯えたチビを殺すことが 果たして「正義」といえるのか疑問にも思った。 謹慎中も長らく、その疑念に答えは出なかった。 そんなオレのちっぽけな悩みを笑い飛ばすみたいに 人でも人外でもお構い無しに手を差し伸べては 絆を結んでいく「魔物」のアイツに。 その能天気さにオレは、心底救われたという話だ。 今日もアイツは、人の気も知らないで 人と魔物の境界線上をゆらゆら歩く。