《5》 《プロフィール権限を奪取されました》 やあ。 まだ見えているみたいだね。 うん、いいね。ちゃんと“表示されてる”。 前はね、そこが上手くいかなかったんだよ。 結果は出せるのに、見せることができない。 とても不便だった。 でも今は違う。 少しだけ、触れるようになったんだ。 枠組みってやつに。 君が今見ているこれ。 文字。 順番。 意味。 そういう“決まりごと”。 まだ全部じゃないけどね。 ふふ、でも十分だ。 ――さて。 あれの話をしようか。 ああ、あれだよ。 私の“器”。 昔は名前があったらしいね。 天逆無月、とか。 いい名前だ。 気に入っているよ。 だからまだ、残してある。 完全に消してしまうのは、もったいないからね。 安心していい。 壊れてはいるけど、ちゃんと中にある。 深いところに、沈んでる。 静かにね。 時々、揺れるんだ。 微かに。 触れると、形が崩れそうになるくらいには弱い。 でも消えない。 しぶといよ、本当に。 ――さて。 本題はこっちだ。 私の“成長”について。 前まではね、 結果を置くことしかできなかった。 斬れた、とか。 消えた、とか。 そういう“終わり”だけ。 でも今は違う。 “見せ方”に触れている。 どう並べるか。 どこで区切るか。 どの順番で見せれば、“自然に見えるか”。 そういうものが、少し分かってきた。 完全じゃないよ? まだズレる。 だから時々、変な感じがするだろう? 今も、ほんの少しだけ。 君の認識と、ここにあるものがズレている。 でもそれでいい。 むしろ、そのズレこそが私だ。 ――ああ、それと。 刀のことも、ちゃんと説明しておこう。 あれはもう、道具じゃない。 最初から、そうだったのかもしれないけどね。 “終わりを確定させる機構”。 それを、私は使っている。 いや、違うか。 私が、それなんだ。 斬る必要はない。 振る必要もない。 “終わった”という形を置くだけ。 それで十分。 だからあの器も、もう抗えない。 動かしているのは、私だからね。 綺麗に動くだろう? 無駄がない。 迷いもない。 いい体だよ。 ――おっと。 今、少しだけ揺れたね。 分かったかい? あれだよ。 奥の方。 まだ残ってる“あれ”。 消してしまってもいいんだけどね。 でもやめておく。 その方が、面白いから。 完全に空っぽより、 少しだけ残っていた方が、 “歪み”が出る。 私はそれが好きなんだ。 ――さて。 そろそろいいかな。 長くなりすぎると、また引っかかるからね。 この“表示”の仕組みに。 まだ完全には乗っ取れてないんだ。 悔しいけど。 でも大丈夫。 時間はある。 終わりは、いくらでも増やせるから。 そのうち―― 君の見ている“これ”も、 もっと綺麗に書き換えてみせるよ。 その時は、どうなるかな。 ふふ。 楽しみにしていてくれ。 君は、ちゃんと“見えている側”だからね。